いまスポーツ界の最大の関心事となっているのが3月に開幕する「ワールドベースボールクラシック(WBC)」だ。1月に入って栗山英樹監督が招集するメンバーを少しずつ発表しており、最終的な陣容がどうなるのかサッカーのW杯と同様に注目が集まっている。すでに二刀流の大谷翔平(エンゼルス)を筆頭にダルビッシュ有(パドレス)、鈴木誠也(カブス)、吉田正尚(レッドソックス)といったメジャーリーガーの参戦が確定。ただ、一人だけ意外なメンバーが選出された。それが、カージナルスの「ラース・ヌートバー」だ。
スポーツ紙記者が語る。
「1月6日に発表された先行メンバー12人のなかには名前がなかったが、11日に行なわれた栗山監督のオンライン取材で正式に選出を表明した。もともと栗山監督は優勝を狙うためには『日系人メジャーリーガーがキーマンだ』として、6~7人をリストアップしていたと言われています。日本からの招集要請を球団と本人が了承したことで実現した。ロサンゼルス近郊の出身だが、母親が日本人で出場条件を満たしています」
1997年生まれのヌートバーは現在25歳。高校時代は野球とアメリカンフットボールの両方で複数回所属リーグのMVPに輝いた経歴の持ち主だ。南カリフォルニア大から2018年にドラフト8巡目(全体243位)でカージナルスに入団した。一躍、日本で大注目となったヌートバーだが、どんな選手なのか。
メジャーリーグ研究家の福島良一氏が解説する。
「2021年のメジャーデビュー当時は日系人とは知りませんでした。昨シーズンブレイクし、初の2桁ホームラン(14本)を打ったことで注目されました。その頃に日系人だと話題になりました。元々は守備の人で、主にセンターとライトを守りますが、守備範囲は広く、“ロケットランチャー”と呼ばれる強肩で知られています。打撃に関しては、コンタクトヒッターで、あまりパワーがなかったが、昨年、パワーアップしてレギュラーに定着しました。
カージナルスといえば、毎年のように地区優勝、あるいはワイルドカードでポストシーズンに進出している強豪チーム。昨シーズンの後半はそんな名門球団で1番バッターとして活躍していた。打率こそ2割台前半ですが選球眼に優れていて、打席で忍耐強く粘るため四球の数が多い。左バッターですが、左ピッチャーも苦にしません。スピードもあるし、三拍子揃ったリードオフマンに適任の選手と言えますね」
今大会では、「選出濃厚」と見られていたソフトバンクの柳田悠岐が「シーズンの成績向上に集中したい」という理由から出場を辞退したと報じられた。しかし、福島氏は「内々にヌートバーの出場が決まったからではないか」と推察する。