岸田文雄・首相が年頭会見で「異次元の少子化対策」を掲げると、それを合図に甘利明・前自民党幹事長が消費税増税論をぶち上げた。
「子育ては全国民に関わり、幅広く支える体制を取らなければならない。将来の消費税(増税)も含め、地に足をつけた議論をしなければならない」
昨年末に“国の安全”を理由に「所得税」「法人税」「たばこ税」の防衛増税を決めたばかりなのに、今度は“子供たちのため”という口実で消費税まで上げようという。
当然、国民から激しい批判が噴き出すと、政府側は慌てて火消しに走り、「消費税については当面触れることはない」(松野博一・官房長官)、「あれは甘利先生のご意見」(鈴木俊一・財務相)と増税否定に回っている。だが、そんな言葉を国民は誰も信じていない。
厚労省の官僚も、「消費税増税は既定路線」と見て準備を始めた。
「政府は消費税の税率を8%に引き上げた際、税収を年金、医療、介護の高齢者3経費に少子化対策を加えた『社会保障4経費』の財源にすると決めている。岸田首相が異次元の少子化対策で子供関連予算の倍増を打ち出したということは、政策的に消費税増税に直結するわけです」(同前)
消費税率を何%上げるつもりなのか。政府・与党が内々に計算している増税額は10兆円だという。
「現在の少子化対策予算は年間約6兆円、倍増するには新たに6兆円の財源が必要だ。さらに昨年末に決まった防衛費倍増に必要な財源5兆円のうち、所得税、法人税、たばこ税の増税で得られるのは1兆円。残り4兆円は別に財源の手当てが必要になる。財源不足は合わせて10兆円。消費税率を最低でも14%に上げないとまかなえない金額だ」(自民党中堅議員)
※週刊ポスト2023年1月27日号