世界中を震撼させた事件から半年が経った。山上徹也被告(42才)は異例ともいえる長期の鑑定留置を終え、殺人罪と銃刀法違反で起訴された。拘置所では何を話し、どんな生活を送っていたのか。
「昨日(1月11日)面会してきましたが、健康状態は問題なさそうです。これまでの半年で本はたくさん読んでいると思いますよ。彼がどんな本を差し入れとして希望したか? 『歴史書』とか、そんな感じです」。
こう話すのは、1月13日に安倍晋三元首相(享年67)を殺害した罪で起訴された、山上被告の弁護団のひとり、古川雅朗弁護士だ。現在、山上被告に面会できるのは3人の弁護士で構成される弁護団と一部の親族のみ。古川さんが面会した山上被告の様子とともに語ったのは、これから始まる裁判について。悩ましい表情でこう続けた。
「初公判がいつになるかは、まだわからないんです。裁判の前に、事件の争点や証拠などを確認する公判前整理手続きがこれから行われますが、その手続きだけで1年以上かかる可能性も大いにあります。結審までは、さらにそこから数年かかるとみています」
戦後史に刻まれる大事件から半年。止まっていた時計の針が動き出したように見えたが、その動きは遅い。そんな中、山上被告本人の「肉声」が伝え漏れてきた──。
昨年7月8日、山上被告は奈良県内で遊説中だった安倍元首相を手製の銃で殺害した。「逮捕後の供述によれば、山上被告は母親が旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に1億円を超える献金をしたことで家庭が崩壊し、教団に恨みを募らせるようになった。教団の活動を国内で広めたのが安倍氏だと考え、襲撃の対象に選んだと話しています」(捜査関係者)
この供述により、世間は旧統一教会と政界の結びつきに注目。教団と関係してきた国会議員は責任を問われ、宗教信者を親に持つ「2世」の境遇も問題視されるようになった。昨年12月には宗教法人などによる悪質な寄付の勧誘行為を規制する「被害者救済法」も成立した。