人生の終幕を見据えた生前整理において、始末に困るのがアダルトビデオなどの品々。捨てるには惜しいがもしもの時には残された家族への“負の遺産”となってしまう。そんな“アダルト終活”を後押しするサービスが活況だ。
密かに楽しむためにDVDを買ったものの、のちのち処分に困るという経験は男性なら身に覚えがあるだろう。捨てるにしても量が多かったり、売るにしても店舗で店員と面と向かって価格交渉するのは気が引ける……。そんな面倒を一手に引き受けてくれる宅配買取サービスがある。それが、北関東を中心に27店舗展開し、一般作からアダルト商品までを取り扱う利根書店(株式会社プリマベーラ)だ。広報部の亀井彬氏が話す。
「宅配買取はインターネットから申し込み、それ以降の手続きもメールか電話のみ、引き取り時も指定の場所にお送りいただくか、逆に引き取り場所を指定してもらうことも可能です」
つまり家から一歩も出ずに処分できるサービスで、2020年には65歳以上のお客から7万本もの商品を買い取ったという。利用者のAさん(58歳)はいう。
「家が近いから週に2、3回は仕事前に寄るんだけど、今はもう見なくなった『燃えよドラゴン』とエロいビデオを売りにきた。そのお金でまた新しいの買っちゃうんだからキリがないね(笑)。終活のことも考えなきゃな」
亀井氏が続ける。
「昨年は65歳以上の方に限定した“アダルト終活”キャンペーンを実施したところ、7万本を上回る8万本の商品を買い取るまでに至りました。子供夫婦と同居することになったからとか、老人ホームに入るからなど様々な理由で処分したい方の相談を受けます」
またこれ以外にも、店を利用していた人が亡くなり、その妻からの依頼で大量のDVDを処分したケースも。亀井氏によれば、
「特に多かったのが4トントラック1台分に1万4000本を買い取ったケースです。あまりに多かったため弊社が運送会社とやりとりして手配をさせていただきました。高齢の方ほど物を捨てられず溜め込む傾向にあるようですね」