2009年の第2回大会以来、3大会ぶりの優勝を目指すWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)日本代表の陣容が固まった。大物選手が次々と参戦表明してメンバー入りし、ファンの期待は高まっている。ただ、やる気を見せていた“大エース”の名がない。その舞台裏とは──。
“チームの駒”になれず
スポーツ各紙で報じられた侍ジャパン全30人に“過去最強”との呼び声が上がっている。
エンゼルス・大谷翔平(28)をはじめ、パドレス・ダルビッシュ有(36)やカブス・鈴木誠也(28)らメジャー組が相次いで参戦を表明。オリックスからレッドソックスにポスティング・システムで移籍が決まった吉田正尚(29)も移籍1年目で異例の出場が実現し、カージナルスで活躍する日系アメリカ人のラーズ・ヌートバー(25)が選出されるサプライズもあった。
NPB組でも、昨シーズン史上最年少で三冠王を達成したヤクルト・村上宗隆(22)やMVPと沢村賞を2年連続ダブル受賞したオリックス・山本由伸(24)と球界を代表する選手が名を連ねている。スポーツ紙デスクが語る。
「最終メンバーの正式発表は2月9日の予定ですが、WBCを主催する読売新聞が〈WBC全30選手固まる〉と報じているため、この陣容でほぼ確定でしょう」
現役時代ヤクルト、巨人などで活躍し、1984年ロサンゼルス五輪日本代表の経験を持つ広澤克実氏は、今回の代表メンバーに期待を寄せる。
「大谷やダルビッシュが参加できると聞いて驚いています。これまでのメジャーリーガーたちは、所属チームが参加を許してくれないなどの事情で侍ジャパンのユニホームに袖を通すことが難しかった。今大会は世界各国で有名選手が参戦していますし、盛り上がることは間違いないでしょう。NPB球団の選手からも“メジャーリーガーと一緒にプレーしたい”という思いが伝わってくる。そういう意味でも良いチームが形成されるはず」
だが、選考の過程では異例の事態もあった。ソフトバンクの柳田悠岐(34)や今宮健太(31)、オリックス・森友哉(27)、巨人・坂本勇人(34)など実績のある選手たちの“辞退表明”が相次いだのだ。前出のスポーツ紙デスクが語る。
「2009年の第2回大会では代表に選出された中日の全選手が辞退するといったことがあったが、それは当時監督だった落合博満氏の意向が大きかった。各球団の主力選手たちがここまで自ら辞退を申し出るケースは過去に例がありません。栗山(英樹)監督が思い描いていたベストメンバーとは少し異なるのではないか」