伝説のテクノバンド・YMOのドラマーである高橋幸宏さんが1月11日、誤嚥性肺炎で亡くなった(享年70)。新型コロナウイルス感染やコロナを警戒する生活習慣が、よりリスクの高いこの病気のトリガーになっていることは、あまり知られていない。
コロナよりも死者数が多い
新型コロナウイルス感染者の国内初確認から3年。直面する「第8波」の1日あたりの死亡者数は過去最高水準になっている。
改めてコロナ予防が叫ばれるなか、「見逃してはいけない」と医師たちが揃って警鐘を鳴らすのが、「誤嚥性肺炎」だ。みえ呼吸嚥下リハビリクリニック院長の井上登太医師はこう語る。
「コロナ陽性者のうち約半数はごく軽い症状ですが、残りは強い風邪の症状で、高熱や頭痛の他、強いのどの痛みが出るのが特徴です。
のどの痛みは、熱が下がった後にも後遺症として残るケースが多い。のどの痛みが3か月続いていた患者さんもいました。そうした患者さんは『ものが食べにくい』とだんだん食べなくなり、噛んだり飲み下したりする機能が落ちてしまう。その結果、身体に大きなダメージを与える誤嚥性肺炎を併発してしまう」
誤嚥性肺炎が恐ろしいのは、発症がそのまま死につながりかねない点だ。
厚生労働省の人口動態統計によれば、2021年の誤嚥性肺炎による死亡数は4万9489人である。2021年のコロナによる死亡者数は1万6766人なので、誤嚥性肺炎による死亡は、実はコロナ死よりも多い。