露天風呂をターゲットにした組織的な盗撮事件に、新たな動きがあった。静岡県警は1月24日、建造物侵入の疑いで公安調査庁調査第二部に勤める津田奨太容疑者(31歳)を逮捕した。津田容疑者は盗撮グループの一員で、女性を撮影する目的で入浴施設に侵入した疑いが持たれている。
この事件をめぐっては、津田容疑者の勤務先である公安調査庁にも家宅捜索が入ったことが報じられている。公共の安全を守るはずの公調が“捜査対象”になるという異例の展開だ。
問題の盗撮マニアグループは全国各地で活動してきたと見られており、今回の逮捕容疑は2020年3月に、兵庫県内の入浴施設内で、女性3人の入浴前後の姿を撮影することを目的に施設に立ち入った疑いがあるというもの。逮捕者はこれで13人にものぼる。
すでに逮捕・起訴されている別のメンバーが200メートルも離れた山林から望遠レンズつきカメラで被害女性の裸を撮影し、津田容疑者は入浴前の女性に近づいて服を着ている姿を撮影する担当だったとされる。服を着ている姿と着ていない姿を並べて動画編集しメンバー内で共有していたとみられており、卑劣な犯行だ。公調関係者が語る。
「津田容疑者は公安調査庁第二部の主任調査官で、韓国の北韓大学院大学に長期で出張するなど朝鮮半島をメインに研究をしていました。現在は、北朝鮮の国内動向の分析をする立場。超エリートコースというわけではありませんが勤務態度は真面目で、問題などは聞いていません。庁内ではどちらかというと目立たない存在でした」
公安調査庁といえば諜報機関のひとつであり、スパイとしての役割もあるとされている。津田容疑者は盗撮グループのメンバーという“もう一つの顔”があったわけだが、もちろん、職場ではそんなことはおくびにも出さなかった。前出の公調関係者はこう語る。
「盗撮グループの仲間が芋づる式に12人も逮捕されていて、『次は自分かも』と生きた心地がしなかったはずですが、そんな様子はまったくなく平然としていました。インテリジェンスの仕事をしているだけある、さすがのポーカーフェイスといいますか……そんな能力は仕事に使うべきだったのですが。被害に遭った女性には申し訳ないとしかいいようがありません」
すでに同グループでの公務員の逮捕者は3人。静岡県警は、余罪の有無を含めて慎重に捜査を進めている。