1月19日、東京・狛江市の住宅で高齢女性が両手首を縛られた状態で床に横たわり、死亡しているのが確認された。女性の顔には何度も殴打された跡があり、左肘の関節部は骨が外に飛び出ていた。犯行の手口が昨秋から関東を中心に全国で相次ぐ一連の強盗事件とも似ていることから、同一グループによる強盗殺人事件と見られている。凄惨な事件から1週間、近隣からは不安の声が絶えない。
被害女性の自宅は小田急線狛江駅から車で10分ほど、多摩川の河川敷に面した通り沿いにある。地下1階地上2階建の豪邸で徒歩10分ほどにあるコンビニ、スーパー以外はほとんど店もなく、閑静な住宅街という印象を受ける。
事件後、被害女性の自宅前の通り、河川敷の土手は前後数十メートルにわたって規制線が貼られ、いまでも自宅を正面から確認することができない状態になっている。自宅側には警察車両が止まり、被害女性宅に複数の警官の出入りが確認された。
近隣住民によると、「3~4年前に引っ越ししてきたばかりで、地域の人たちとの交流はあまりなかったと記憶しています。ガレージにベンツやマイバッハといった高級外車が並んでいたので、『何の仕事をしていたんだろう』と話題にのぼりやすい一家でした」という。家族単位での交流はあまりなかったようだが、被害女性はよく見かけられていた。別の近隣住民が語る。
「たまたま通っている病院が同じで知り合いまして。それからは見かけると挨拶や軽く話すことはありました。あまりご家族のことを話す方ではなかったですね。近所でも年の近い人と話している様子はたびたび見かけました」
全国で相次ぐ強盗事件では、SNSで高額報酬をうたい実行役を募るグループによる犯行の疑いが強まっている。実行犯のスマホを解析した結果、「ルフィ」と名乗る指示役がフィリピンから命令していたと見られている。このグループにはほかにも「ゾロ」や「サンジ」などの名前を名乗る人物もいたようだが、秘匿性の高い通信アプリで連絡をしていたこともあり、全容解明には時間を要しそうだ。さらに別の近隣住民が心境を吐露する。
「こんな近くで、あんな事件が起きて恐いから、すぐにカメラ付きのインターフォンにしたんです。事件以来、人が訪ねてきても、まずはチェーンをしたままドアを開けて対応するようになりました。1月23日に警察の人が事件について聞き込みに来たけど、彼らが本当に警察官なのか心配になって。すぐに警察に電話して、確認したくらいです。犯行はいつおきるかわからないので、近所の人も“またあの強盗団がくるんじゃないか”と不安な日々を過ごしています」