SNSを活用したマッチングサービスは、手もとにあるスマートフォンひとつで自分に特化した望みを叶えられる便利なサービスだ。求める内容と、相手のスキルが直接、結びつく利便性は捨てがたいが、不正の温床にもなっている。2022年1月に行われた大学入学共通テストでは、家庭教師紹介サービスを悪用して試験時間中に大学生に解答させるという事件が起きた。就活でもSNSで利用者を募った代行業者を名乗る者による替え玉受験の摘発があるなど、ネットを悪用した不正受験に警戒が強まっている。若者のネット利用における事件とトラブル実態に詳しい成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子さんに聞いた。
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2023年の大学入学共通テストは、厳戒態勢の中実施された。受験生の一人は、「会場の試験監督数が、去年の倍になっていたと聞いた」と当日の様子を振り返った。
「自分も緊張していたけれど、会場全体もピリピリしていた。開始前に不正を強く注意されたし、身動きするたびに監視されているようで、不正を疑われないかどきどきした」
スマホを試験前に机の上に出させて一斉に電源を切り、鞄にしまう対応に改めた他、イヤホンは装着しているだけで不正行為とみなすなど対応が厳重に。また、試験監督による巡視の回数を増やしたり、怪しい行為が見られた場合は注意するなどの対応がとられた。
しかし、その対応について学生に意見を聞くと、「監視が甘すぎる」と不満げだ。
「詳しくない人が監視しているんだから、ある意味やり放題では。絶対に不正できないように、会場でネットワーク遮断とかすればいい。昨年の捕まった女子学生は2年続けて不正していたというし、そんな人が受かって、真面目に受験勉強してきた人たちが落とされたらたまらないと思う」
12月には、文部科学省は大学生や受験生、学習塾や予備校などに対して、入試において不正に関係しないようという通知を出している。
それによると、不正行為に関与してしまう例として、時間内に解答を返信してほしいなどの依頼に応じたり、SNSや匿名掲示板に投稿された問題への解答があげられている。特に注意が必要な場面として、試験期間中にオンラインで問題への回答を求められたり、試験問題の画像が送付され解答の送付を求められるなどの具体例も示されている。2022年1月に起きた共通テスト問題流出事件で、大学生が不正と知らずに回答を返信するという形で関与させられたことを問題視していることがうかがえる内容だ。