警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、出入国を頻繁に繰り返す外国人窃盗団メンバー逮捕の難しさについて。
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関東各地や西日本で相次いでいる強盗事件は、SNSで高額の報酬を提示して強盗の実行役を募る「闇バイト」が背景にあるという。そのため集まったメンバーらは互いに面識がなく、寄せ集めのメンバーによる犯行だと報じられている。
だが2000年代に入り日本国内で多発していた外国人犯罪グループによる強盗事件は、寄せ集めのメンバーではなく、実行犯も含めた組織的な犯罪グループだった。
2003年1月、東京都世田谷区の会社社長宅に複数人の男が侵入して社長を殺害、現金や貴金属など合わせて約2400万円を奪うという強盗殺人事件が発生した。事件を起こしたのは韓国人窃盗団だ。
彼らは韓国国内で取り締まりが強化された時期、楽に大金を稼げると来日しては窃盗を繰り返していたのだ。窃盗団には定着する住処がなかったため、昨日は東京、今日は名古屋、明日は京都といった具合に場所を変えて犯行を繰り返していた。それが日本の警察の捜査を遅らせていたという。警察組織は都道府県ごとに管轄があり、数県にまたがる犯罪にはなかなか対応できなかったのだ。
米国のFBIのような組織があればよいが、当時の状況では捜査が後手に回っていたと、外国人犯罪捜査に詳しい元刑事はいう。その後、組織犯罪対策本部が設置されたのだが、それでも各県警との連絡を密にして、情報を蓄積、地道な捜査を繰り返して、犯行グループに行きつくしかなかったという。
「捜査していくと、手口やら目撃証言などから、犯人グループはアジア系だとわかった。さらに情報を収集していくと、この窃盗団は金持ちの家を狙って、何十件も強盗をやっていた韓国人グループと判明した」(元刑事)
多発する事件を前に、事件解決の糸口をどのように見つけたのかと聞くと元刑事は「同じグループの犯行ということは、同じような所で盗品を処分している可能性があるということだ。まずそこを重点的に捜査する。外国人の窃盗グループが盗品をいつ、どこで処分したか。それがわかれば、今度は盗品を買った店を当たる。証拠品が店になければ、今度は誰が買ったのかを調べ、証拠品を抑える。買い取りをする店や質店には、古物商として帳簿をつけておく義務があるため、簡単に犯人に行きつくこともある」
ところが事件の被疑者が分かっても、すでに犯行メンバーは全員が韓国に帰っていた。「犯行直後に帰国するのは、こうした外国人犯罪者の常套手段。逃げられると外国人犯罪の捜査は長期戦になりがちだ」と元刑事は話す。