90歳女性が殺害された強盗殺人事件をきっかけに、全国で類似の事件が起きていたことがわかった。住民の在宅時を狙い、危害を加えて金品を奪う──危険な強盗団の手口を知ることが最大の防御になる。
1月19日夕方、東京・狛江市の閑静な住宅街で、90歳の女性が自宅で両手を縛られた状態で亡くなっているのが発見された。女性の顔には暴行の跡があり、左肘関節部の骨が外に飛び出ていた。
「犯人は4人組の男で部屋には物色された跡がありました。レンタカー2台で被害者宅を訪れ、インターホンを鳴らして玄関を開けさせて侵入。1時間ほど室内で金品を物色したとみられている」(全国紙社会部記者)
被害者宅は多摩川の河川敷に面した通りにある。近隣住民はこう話す。
「独特の門構えで、ベンツやマイバッハなど高級外車を4台駐めていた。ここの通りは住民以外ほとんど使わないが、私の妻が事件の数日前、見慣れない1台の車が入り込んで、不審な動きをしていたのを見ています」
昨年12月には東京・中野区で6人組の犯行グループが民家に侵入し、住人男性に暴行し、現金約3000万円を奪って逃走する事件が起きているが、関東近郊で昨年秋以降、よく似た手口の強盗事件が多発している。元警察官で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、一連の事件の特徴についてこう語る。
「郊外のベッドタウンに集中していますが、家の作りに共通点があまり見受けられない。盗みに入りやすい家というよりも住人で選び、ターゲットを決めたうえで犯行に及んでいるのでしょう」
犯行の手口も酷似しているという。
「いずれも3人以上のグループによる集団強盗で、お金の在り処を聞き出すため、住人の在宅時を狙っています。住人の手足を粘着テープで縛り、暴力も辞さないことも共通している」(小川氏)
1都7県の事件で10数人が逮捕されているが、実行犯は「SNSや闇サイトで応募した。強盗に入る家などは指示役から伝えられた」と供述している。前出の中野区の事件で逮捕された永田陸人容疑者(21)のスマホには狛江市の強盗に関するメッセージが残されていたこともわかっている。
「同一グループが事件ごとに実行犯を変えながら犯行に及んだとみられている。このグループは強盗だけで10数件、貴金属店での窃盗も合わせれば、30数件にまで広がる可能性がある。指示役は特定できていないが、“ルフィ”と名乗り、実行犯にターゲットや手口などを指示していたとみられる」(前出・社会部記者)
人気漫画『ワンピース』の主人公で麦わら帽子を被った海賊ルフィを真似た可能性が高い。逮捕された実行犯の大半が20代で、指示役にも若さが窺える。