官民あげて新型コロナのワクチン接種に励む日本だが、1月20日に開かれた厚労省の分科会で報告されたワクチン接種後の死亡事例は、ファイザー1751件、モデルナ211件、武田1件の計1963件だった。しかもこれらはあくまでも医療機関またはワクチン製造販売業者から報告された死亡事例に過ぎない。実際にどのような形で死を迎えたのか。そして遺族は何を思うのか。
茨城県在住のK美さん(仮名・当時55才)は2021年5月に2度目のファイザー製ワクチンを接種した当日に頭痛を訴えた。翌日に40℃の発熱があり、深夜に息苦しさを訴えて救急搬送中に心肺停止し、不整脈による死と診断された。K美さんの親族が語る。
「持病があっても薬で症状は安定しており、心臓の異常や動悸や息切れを訴えることもなく、死因には納得がいきません。医師にワクチンとの因果関係を尋ねても明確な答えはありませんでした。持病があるからこそコロナ感染で重症化することを恐れて接種したのに、これでは彼女がうかばれません」
若くして亡くなるケースもある。埼玉県在住のTさん(当時19才)は2021年7月に初めてファイザー製ワクチンを接種した。当時は大学生で、サッカー部が合宿をする際の条件がワクチン接種だった。接種直後、Tさんに異変が生じた。待機時間中に意識を失って椅子から転落し、血管迷走神経反射と診断されて、1時間ほど横になった。Tさんの父が振り返る。
「息子は接種会場から電話してきました。少し休んだのち、問診を担当した医師から“緊張や極度のストレスが原因で起きる症状なので心配ない”と言われて、そのまま帰宅したようです」
悲劇が起きたのは帰宅中。バイクを運転していたTさんが猛スピードで電柱に激突して脳挫傷で死亡したのだ。目撃者の話では、電柱にぶつかる直前のTさんは両手をだらりとさせ、頭部を前方のメーターに乗せていたという。
「医師からは走行中に気を失った可能性があると告げられました。ワクチンの影響を疑いましたが、医師は“状況から因果関係の立証は難しい”と言うのみ。死因を詳しく調査してほしかったけど、錯乱状態の妻のケアに追われてそれ以上の追及はできませんでした。息子の死を境に私も妻もワクチンは打たなくなり、次男にも絶対に打たせないつもりです」(父親)
冒頭の通り、これまで国に報告されたワクチン接種後の死亡事例は1963件だが、厚労省は99%のケースで接種と死亡の因果関係を「評価不能」として、因果関係を認めた事例は一件もない。名古屋大学名誉教授で医師の小島勢二さんがいう。
「厚労省が出しているワクチンの副反応報告を読むと、臨床医にとっては、ワクチン接種が原因と思われるケースが多数見られます。また、昨春の時点で接種後に亡くなった人のうち病理医が『因果関係あり』としている事例が28件ありました。通常、臨床医が病理医の診断に異を唱えることは異例で、厚労省がそのすべてを評価不能とするのは理解に苦しみます」(小島さん)