3月8日に開幕するWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の代表メンバー30人が、1月26日に発表された。14年ぶりの世界一奪還に向け、海の向こうのメジャーリーグ球団からも、大谷翔平(28才)を筆頭にダルビッシュ有(36才)ら過去最多タイの5人が選出された。本大会に先立って、2月17日から27日まで宮崎での事前合宿が予定されている。
「2009年の合宿のときは、24万人以上が押し寄せました。当時は田中将大やダルビッシュなど名だたる選手がいたことに加え、圧倒的な人気を集めるイチローがいました。球場前には冬場にもかかわらず徹夜組が列をなし、合宿期間中は周辺道路が大渋滞に見舞われた」(スポーツ紙記者)
大谷の人気ぶりは、当時のイチローをも凌駕するとみられている。今回、NPB(日本野球機構)は混乱やトラブルを避けるため、無料整理券をインターネットのチケットサイトで発行したほどだ。
現地では「あのショーヘイ・オオタニが宮崎にやってくる」と早くも大盛り上がり。1月31日、ダルビッシュは自身のツイッターで事前合宿に初日から参加することを発表した。しかし同時に《早期合流が難しいのは確かです。ただ自分の場合はベテランであるためパドレスが融通をきかせてくれました》と綴っていた。実は、メジャー選手全員が合宿に勢揃いできるかは不透明だ(31日時点)。
「メジャー組は大会期間中、万が一の故障に備えて保険に加入します。もしWBCの影響で、その後のレギュラーシーズンに支障をきたしたとしても、保険会社が選手の年俸を補償してくれるのです。ただ、この保険は大会直前の3月に入ってから有効。その前に行われる合宿期間中の保険については別途、NPBが負担しなければなりません。億単位のお金が必要です。NPBは慢性的に財政難で、捻出できるか疑問が残ります」(野球ライター)
大谷の場合、投打二刀流のため故障リスクが大きく、費用負担が跳ね上がる可能性さえある。そうなると、“宮崎フィーバー”は遠のくのだ。さらに、メジャー組の不参加は「チームワークの醸成」にマイナスの影響を及ぼすことまで危惧されている。スポーツジャーナリストの福島良一氏が解説する。
「たしかに日本はチームワーク、和というものを大事にしますので、目標に向かって最初から全選手が集まってスタートできないことを不安視する声も聞かれます。それでも、メジャーの選手たちはいつでもプレーできる状態に仕上げてきますから、ぶっつけ本番で開幕戦を迎えてもあまり心配はないでしょう」
必要なのは、何より熱い声援なのだろう。
※女性セブン2023年2月16日号