腎機能が慢性的に低下する状態を総称した慢性腎臓病(CKD)は国内の患者数が1400万人と推計され、新たな国民病とも呼ばれている。進行すると腎不全から人工透析になったりする他、心血管疾患や脳卒中などの発症リスクが高くなる。効果が見込まれる治療薬が保険承認されたが、進行抑制には早期の発見と継続的な生活習慣の改善が基本だ。
テレビで見かける“eGFR値が59以下の方は医師に相談を”のCMはCKDの早期発見を促すものだ。進行すると透析治療のみならず、心疾患や脳卒中などで死亡リスクも高まってしまう。
筑波大学医学医療系腎臓内科学の山縣邦弘教授に聞く。
「CKDはeGFR値(推算糸球体ろ過量)60未満か尿タンパクの両方、または片方が3か月継続した場合に診断されます。そのためeGFR値と同時に尿検査が不可欠です。特に尿タンパクが出ている症例は悪化スピードが早く、腎不全に進むケースが多いようです。健診などで尿タンパクを指摘されたら再検査が必要で、再検査でも陽性の場合は必ず専門医を受診してください。CKDは症状が出た時には、かなり進行しているため検査による早期発見がカギとなります」
CKDの発症要因と進展要因は重なるものが多い。年代によって異なるが、中高年では糖尿病や高血圧、脂質代謝異常、肥満などの生活習慣病と喫煙、加齢などが主体だ。つまり、CKDを悪化させないようにするためには生活習慣病治療と一緒に、進展要因のコントロールが欠かせない。
ただ、例えば腎臓病治療に欠かせない減塩指導に対しても塩分だけを半分にすればいいのだが、食事量を半量にする対応をしてしまい、結果的に摂取カロリーが半減し、体力低下を招くこともある。