政府は、新型コロナの重症化率や致死率が季節性インフルエンザ並みに下がっていることなどから、ウイルスの感染症法上の位置づけを「5類」に引き下げると表明した。移行は5月8日からの予定だ。
コロナの5類引き下げにより法律に基づいた行動制限がなくなる。規定上は一般的な風邪と同じようにすべての医療機関で入院や診察が可能だ。それに伴ってワクチンの扱いも変わることになるという。昭和大学医学部客員教授(感染症学)の二木芳人医師が語る。
「政府は3月末を期限としていた無料接種を4月以降も続ける方向ですが、5類に移行すれば基本的には現在全額となっている医療費の公費負担はなくなります。今後は段階的に公費負担を縮小し、ワクチン接種もある時期に『来月から有料です』などとアナウンスして追加接種に誘導すると見込まれます。
mRNAワクチンはインフルエンザワクチンなどと比較すると安価で大量製造できるので、全額自己負担でもかかる費用は2000円程度ではないでしょうか」
そこで考えたいのが、移行後、6回目・7回目と引き続き定期的なワクチン接種を継続するべきかということだ。
現在、65歳以上の高齢者の4回目接種率は80%を超えるが、5回目は60%ほどに留まる。
「今後の流行状況次第ですが、基本的に高齢者や基礎疾患のある方々は、追加接種をすべきでしょう。ただし現在、アメリカの東海岸で流行し、今後は日本で流行が懸念される『XBB株』は、重症化リスクが低いかもしれない。健康な若い人たちは詳細なデータが出てから接種するという選択肢もあり得ます」(二木医師)