国内

井筒和幸監督、強盗事件で「闇バイト」に群がる若者たちへ「社会の闇に引きずり込まれないために知力と胆力を持て!」

詐欺グループの拠点になっていたフィリピンのオフィス

詐欺グループの拠点になっていたフィリピンのオフィス

「闇バイト」で集まった若者たちがかかわった強盗事件が全国で相次いでいる。こうした事件が増える背景には何があるのか。井筒和幸氏が自らの考えを綴る。

 * * *
 儲けることばかり優先してきた日本社会。そこから更にふるいにかけられ、追い出され、自分さえ見捨てて、カネ欲しさに何でもする、20代、30代の愚か者どもが、社会の奈落をうろついている。失われた世代の下の、もっと行き場を失くした者たちだ。

 彼らが、数々の強盗傷害殺人事件を起こして次々に逮捕されている。東京の稲城市の実行犯らは、宇都宮、札幌、愛知、埼玉、大阪と住所もバラバラ、見ず知らずの他人同士だった。千葉の事件の23歳自衛官も、東京中野区の21歳職業不詳も、ニュース映像で見る限りだが、その顔はオロオロするでもなく、元から心が空っぽなのか、感情の見えない、節穴のよう眼だった。

 彼らにSNSで強盗を指示したとされるのは、フィリピンの入管収容所に収監されていた、この世の終わりを待つような面構えの悪党どもだ。
そんな悪党どものSNSの指示に従い、彼らは高額が稼げる「闇バイト」に応募し、自ら進んで強盗団になったのだ。大半は借金の返済やギャンブル代のためで、実行役は100万円、運転手は80万円と甘言に釣られていたらしい。

 指示役に自分の免許証を写メで送って、家族のことを教えたら最後、「仕事」から降りられなくなったというのだ。「逃げるとひどい目にあうぞ」と脅されていたのだ。

 まともな判断ができるなら、仕事が「強盗」と分かったらすぐに連絡を断てば済んだ話だ。その「テレグラム」の怪しい伝文を、すぐに警察でも誰にでも見せたら相談できたはずだ。自制心もなく、まともな友人もいなかったのか。直前まで本当に悪事と知らなかったのなら被害者の面もあるだろうが。悲しいかな、彼らはモノやコトを見抜く力がエンプティで底をついていたのだ。家族が心配になったのでグループから抜けられなくなったと供述した奴もいる。心配なら止めればいいだろうが。もう幼稚園児以下じゃないか。

強盗のバイトをする前に奈落から這い出す方法はなかったのか

 そもそも、一日で100万円稼げるような「闇バイト」など、怪しいに決まってるだろ。
アメリカから国際犯罪組織と烙印を押されたロシアの傭兵会社ワグネルでも、一日最前線に送られても100万円はくれないぞ。物事を疑ってかかる力もないのか、借金苦やギャンブルがそこまで心を壊してしまうものなのかは解らない。だが、生きてる気がしない、金がない、仕事がないのなら生活相談を受けるとか、それこそ、山寺に駆け込んで修行させてもらうとか、強盗のバイトまでする前に、奈落から這い出すこともできただろう。何にしろ、この強盗殺人実行犯は有罪になれば死刑か無期懲役刑にも問われるし、さらに奈落からも隔離されるのだ。この閉塞しきった、平気で人を見捨てる格差と分断のどん詰まり社会が続く限り、「闇バイト」も後を絶たないぞ。その闇に引きずり込まれないために、知力と胆力を持って、若者は生きる他ないのだ。

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン