たれぱんだ、リラックマなど、ストーリー性のあるちょっぴりネガティブなところや、立体のかわいさが人気のサンエックスのキャラクターたち。これまでに生み出された数は、なんと1000を超える。
サンエックスの前身は、1932年、先代の千田杏三さんが創業した「チダ・ハンドラー」という会社で、昨年創業満90年を迎えた。当時は主に文具の製造や販売をしていたが、1973年に社名を変え、1979年に自社でキャラクター(以下、キャラ)のデザインを本格的に開始し現在に至る。
「世の中にオリジナルのキャラが出回り始めた頃、弊社でもキャラ制作に乗り出しました。初めて商品化したのが『ロンピッシュクラウン』です」(広報担当・富田杏奈さん・以下同)
1980年代に入るとファンシー雑貨ブームに突入する。
「当時のファンシーグッズは目新しいものが人気で、いまのように1つのキャラの商品を数多く、また、何年も継続して販売しようとする動きはあまりありませんでした」
そんな中、1998年に「たれぱんだ」がヒットしたことで、新たな道が開かれる。
「『たれぱんだ』が幅広く受け入れられたことで、キャラの自社商品化以外の新たな可能性に気がついたんです。
その経験を生かして生まれ育ったのが、今年で20周年を迎える『リラックマ』です。それまでシールやノートなど文房具が主流でしたが、書籍や映像など新たな分野にも進出するようになりました」
新キャラの発売頻度も見直され、いまは年に1〜2キャラを厳選し、販売するようになった。
「現在、所属しているデザイナーは女性を中心に約40名います。自社ですべてのキャラを考えており、新人にも新キャラ発表の機会が与えられています。少しネガティブだったり、自信がなかったり、人々に共感し寄り添うキャラが多いのが特徴です。一見無表情に見えるコでも、人によっては笑って見えたり悲しんで見えたり、何かストーリーを感じられる想像の余地があるコが多いですね」
その優しさのあるキャラたちの歴史を見ていこう。
サンエックスオリジナルキャラ年表
1000を超えるサンエックスのオリジナルキャラクターの中から、その一部を紹介する。
1979年:ロンピッシュクラウン
1979年、サンエックスがオリジナルキャラクターの制作に着手して、初めて商品化され登場したのが「ロンピッシュクラウン」。ピエロをメインに星をちりばめたキャラで、当時の文具には欠かせないレターセットや鉛筆のキャップ、カンペンケースなどが発売された。当時のキャッチコピーは「はじけるリズム ピエロが踊る赤と黒のハーモニー」。
1980年:ボビーソクサー
1980年:アクアマリン
「ロンピッシュクラウン」に続き、その翌年発売され、ヒットした「アクアマリン」。イルカやクジラなど、海の生き物がモチーフに。初期のものからデザインやロゴ、色味をより目立つように変更した後、幅広く商品化されたシリーズ。キャンディモチーフの「ボビーソクサー」と、車モチーフの「ビートルフリーク」も同時期に発売されヒットした。