テレビ各局が「昭和」をテーマにした番組を量産しているが、このブームの行く末を左右するのがあのダウンタウンだという。いったいどういうことか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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4日(土)19時から3時間特番『ダウンタウンvs Z世代』(日本テレビ系)が放送されます。この特番のコンセプトは、「今では考えられないことが、昭和では当たり前だった? 暮らし、商品、恋愛、人物や発言など……あらゆるジャンルの“ヤバイ”昭和について『今でもアリ!』『それともナシ?』をダウンタウン&昭和世代とZ世代のタレントがトークバトル」。
昨年8月13日(土)に「ダウンタウン6年ぶりの日テレ新特番!」と掲げて放送され、個人8.4%・世帯12.5%の高視聴率を獲得したほか(ビデオリサーチ・関東地区)、各世代からの反響が大きかったため、すぐに民放各局が「昭和をフィーチャーする」という企画に追随。音楽番組での昭和特集をはじめ、さまざまな番組で昭和絡みの企画を増やし、9月29日にレギュラー放送がスタートした『ニンチド調査ショー』(テレビ朝日系)も昭和を前面に押し出した番組であり、大きな影響を及ぼしています。
だからこそ第2弾の放送となる今回は業界内の注目度が極めて高く、「再び成功を収めたら昭和ブームは続行だろう」「もし失敗に終わったら昭和ブームは終焉に向かうのではないか」とみなすテレビマンが少なくないようです。
では、なぜ昭和の企画は視聴率や反響を得られ、今回はどんな結果が予想できるのでしょうか。
自信満々の「パワーアップ」宣言
昭和ブームが幅広い世代に広がったきっかけが『ダウンタウンvs Z世代』だったことは間違いないでしょう。しかし実際のところ、若年層を中心にした昭和ブームは数年前からはじまっていました。TikTokなどで昭和の歌やアイドルが流行しているほか、昭和のファッションやインテリアを日常に採り入れたり、昭和のムードが漂うスポットを訪れてSNSにアップしたりなど、若年層の間で昭和はトレンドの1つになっていたのです。
ただそれでも若年層の間で流行っているだけでは、社会的なブームまでは至りませんでしたが、お盆の大型特番として大々的に扱い、しかもダウンタウンの冠番組だったことで、年上の世代にも一気に波及。そもそも昭和の時代を生きた40代以上の反応がいいのは当然でしょうが、「若年層との会話やSNSでのやり取りにもつながる」というメリットが盛り上がりにつながった感があります。
前回の放送では、昭和の暮らし、子ども、学校、ヒット商品、恋愛・結婚、バズった人、さらに「松本人志が広めた言葉」がフィーチャーされました。今回の放送でも、昭和の子ども、暮らし、刑事ドラマなどの前回に近い内容が予告され、さらに「“ヤバさ”がパワーアップ」というコピーを打ち出しています。
この「パワーアップ」というフレーズは、「まだまだ昭和のネタや映像のアーカイブが豊富にある」という自信の表れではないでしょうか。制作サイドの中に「人々が昭和ネタに慣れてしまい、“ヤバさ”を感じなくなるのはもう少し先」という勝算があるのかもしれません。
しかし前述したように、昨年8月に第1弾が放送されてからの約半年間、さまざまな番組で昭和が扱われてきました。ところが『ダウンタウンvs Z世代』のように視聴率や反響を獲れている番組は少なく、ブームが落ち着いて飽きられはじめているようにも見えるのも事実。そんな他局の番組を見てきた日本テレビの制作サイドは、どんな昭和の映像を用意し、どんな編集や演出で笑いにつなげていくのか……やはりダウンタウンのトーク力に頼るところも大きいのではないでしょうか。
日本テレビは手堅く視聴率を獲るバラエティの編集や演出が得意なだけに、もし再び成功させたら、他局にとって1つのお手本のような番組になるでしょう。また、逆に「もし“日テレ×ダウンタウン”で不発に終わったら、昭和ブームも潮時かな」という決断のきっかけにつながる可能性は高いのではないでしょうか。