大寒波に襲われた日本列島。寒さによって気づかないうちにダメージを受けている身体。そのなかでも腰痛にとって、冷えは大敵なのだという。どうやリハビリ整形外科院長の銅冶英雄氏が語る。
「寒くなると自然と体が縮こまり、背中が丸くなりがちです。その姿勢が常態化すると椎間板がずれて腰痛の原因となる。
また、寒いと神経の閾値(反応する刺激の強さ)が下がります。暖かい時は痛みを感じなかった行動も、気温が下がると痛みを感じるようになるのです」
寒さによる血行の悪化も腰痛に拍車をかける要因となる。急性腰痛なら痛み止めや注射が効果的なケースもあるが、慢性腰痛は抜本的な治療法が確立されていない。
コンディション・ラボ所長で理学療法士の園部俊晴氏が語る。
「レントゲンやMRIで調べても腰痛の原因は不明です。そもそも高齢者は背骨や腰の骨が変形していることが多く、痛みの原因がわかりにくい」
腰痛の85%は原因不明とされているが、日常生活や運動で改善が見込めると銅冶氏は言う。まず冬の風物詩である「こたつ」はNGだ。
「この季節、こたつの暖かさは確かに魅力的ですが、床に座った姿勢は腰が丸まって椎間板に負担がかかりやすいので避けるべき。床ではなく、椅子に座る生活が必要です。ただしふかふかのソファーだと体が丸まるので、硬い椅子がお勧めです」(銅冶氏)
この際、座り方にもコツがあると園部氏はアドバイスする。
「背もたれに少し背中が触れる程度の深さで腰かけ、背筋を伸ばすのが理想です。足を少し開いて、足の裏全体を床につけることを心がけましょう」
お尻で体を支えるようにするのが基本の姿勢で、園部氏が勧める座り方は「坐骨座位」だ。
「椅子に座ってお尻の下に手を入れ、お尻を揺らした時にゴリゴリと感じられる骨が『坐骨』です。この坐骨の上に重心を置いて座ると、背骨への負担が少なくなる。逆に重心がズレた状態で座ると、背骨に体重がかかって曲がり、腰痛の症状を助長します」