コロナ禍が4年目に入り、テレビ局では番組作りに変化が見え始めている。その1つが“街ぶら”番組だ。どう変わってきたのか、そして注目番組は? コラムニストで放送作家の山田美保子さんが解説する。
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昨今、ニュースや生ワイドで盛んに聞かれるワードが「3年ぶり」。全国の祭りや恒例イベントなどが3年ぶりに行われたり、通常のスタイルに戻ったりしたことが連日のように伝えられているのだ。
スタジアムでの声出し応援や、音楽イベントでのコール&レスポンスなども、マスク着用の条件付きながら解禁されている。
新型コロナウイルス禍以降、禁止されていたことが続々通常運転に戻りつつあるなか、いわゆる“街ぶら”番組にも本来のスタイルが返ってきた。
コロナ禍では地方ロケ禁止や企画変更したケースも
もちろん、出演者のマスクは不可欠。着席して食べる場合は、ソーシャルディスタンスを徹底し、番組スタッフが持参した背の高いアクリル板を立ててはいるが、店主と会話を交わしながらの店内での試食、屋外での立ち食いのシーンでは不自由さが取り除かれた気がする。
こうした“街ぶら”番組にとって、この3年は本当に長かった。それ以前は文字通り、街をぶらぶら歩いて名物を食べ、演者による“取り換えっこ”や“一口ちょうだい”も許された。出演者の一人が代表してアポなしの店に取材交渉をし、時には狭いカウンターでギュウギュウ詰めになりながら和気あいあいとラーメンをすすることなどもできたあの頃。
だが、コロナ禍ではこれらがすべてできなくなり、電車や飛行機で移動する地方ロケも禁止に。特に海外ロケをメインにしていた番組は大きな企画変更を余儀なくされた。近県までロケに出る番組も、演者を連れてロケに行けないので、ディレクターがデジを抱え、カメラマンの役割やリポーターの役割を1人で担い、“絵”を撮ってくる番組も増えた。さらには、宅配で各地の名物を取り寄せたり、Uber Eatsさながらに、出演者が配達員となって、共演者が集まる場所まで料理を届けたりする演出をしていた番組もあったものだ。
その間には、残念ながら終了や休止の決断を迫られた番組もあったのだが、異例の復活を遂げたケースもあれば、元通りのコンセプトに戻れた番組も。各番組が「3年ぶり」に元気になって帰ってきたのである
“ロケ名人”“街ぶらの達人”と呼ばれているタレントたちが息を吹き返せば、スタッフらは新企画を続々投入し、ブラッシュアップした番組作りに専念しているところだ。
そんな中、ウド鈴木と出川哲朗という、ロケの達人であり、いまや大御所ともいうべき2人がタッグを組んだスペシャル番組が2月12日に放送される。『ウド・出川の子ども地図ツアーin伊勢志摩~観光客が知らないスポットを旅してゴメン~』(メ~テレ・テレビ朝日系)である。
30年来の仲良し、ウド&出川はスタッフが安心して起用できる存在
平和的なキャラクターの2大タレントとも言えるウド鈴木と出川哲朗は、実は30年来の仲良し。プライベートでも仕事でも互いのことを知り尽くした2人による“ぶらり旅”は、『~子ども地図ツアー~』のタイトルどおり、地元の小学生が大きな模造紙に描いた地図に、各々のオススメスポットを記したカードが何枚も貼られている。
そこには手描きのイラストと直筆の解説文が。グルメ情報がメインの番組なのに、「骨折したときに治してくれた病院」や、小学生には少々早そうな縁結びスポットなどが記されているのがなんとも微笑ましい。
キャイ~ンの相方・天野ひろゆきと共に『もしもツアーズ』(フジテレビ系)を20年も続け、“もしツア”開始の翌年にスタートした『ウドちゃんの旅してゴメン』(メ~テレ)を現在も続けているウド鈴木。そして出川哲朗は、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)や、『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』(テレビ東京系)で毎週のようにロケに出ている。
2人の特徴といえば、普段から腰が低く、“聴く耳”のサイズが抜群に大きいので、老若男女、どんな一般の方が相手でも、一瞬でリラックスさせられるし、ちゃんと話が聴き出せる。いじったり、ツッコんだりしても決して失礼にならず、既に“おじさんタレント”の部類ではあるが、フットワークが軽いし動きもいいからスタッフも安心して起用できるのだ。
今回のゲストは土屋アンナと本田望結。タイプも年齢も異なる2人の女性タレントを、ウドと出川は、ちゃんと調理法を替えて接し、引き立てる。出会った人たちも、ウドと出川の姿を見つけただけで満面の笑みを浮かべるし、最大の“おもてなし”を提案するのだ。