3月に開幕するWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)。3月9日から東京ドームで1次ラウンドに臨む日本代表は、大谷翔平(28)やダルビッシュ有(36)など、メジャー選手が大勢参加し、「過去最強」とも称される。だが、3大会ぶりの優勝を目指す彼らの周りには“大国の陰謀”が渦巻いているようだ。
優勝候補筆頭の米国は順調に戦力を整えている。スポーツライターの友成那智氏が語る。
「前回の2017年大会は米国の初優勝で過去最高の興行収入を記録、WBCはイベントとしての価値が高まった。今大会も米国はMVP3回で主将のマイク・トラウト(31)はじめクレイトン・カーショウ(34)などビッグネームを揃えている。最強チームを形成して総力戦で2連覇を狙っています」
一方、ほかの強豪国では異変が見られている。なかでも第3回大会優勝のドミニカ共和国は、予備登録した50人のうち18人がMLB球団側から出場許可が出なかったと報じられた。在米スポーツジャーナリストが語る。
「ドミニカのクルーズGMは地元メディアの取材に『18人にはケガと関係ない選手も含まれ、チーム編成にとてつもない影響を与える』と訴えました。つまり、“米国代表はあれだけメンツが揃っているのに、うちの国は不公平だ”と言いたいのでしょう」
ドミニカだけでなく、プエルトリコやオランダでも大物選手の辞退が相次ぎ、戦力が充実する米国との差は開くばかりだ。
もっとも、「アメリカ・ファースト」にも見える構図は今に始まったことでない。第1回大会からWBCの予選ラウンドは抽選ではなく地域性を重視した組み合わせだ。スポーツ紙デスクが語る。
「スポーツの国際大会の組み合わせは通常、抽選で決めますが、WBCは運営元のMLBが主導で決めるため米国優位になりやすい。今大会の1次ラウンドも米国が入ったC組はコロンビア、カナダ、イギリスと格下ばかりですが、プエルトリコ、ベネズエラ、ドミニカの強豪3チームはD組に組み入れられている」
米国には「地の利」もある。
「そもそもメジャーの選手は米国の球場に慣れているうえ、準々決勝から準決勝、決勝まですべてマイアミのローンデポ・パークで戦うので移動がない。日本は勝ち進んだ場合、東京での準々決勝が3月16日に終わり、早ければ19日からマイアミでの準決勝に臨むという強行日程。さらにマイアミの球場は日本人が不得手な天然芝のため苦戦が予想されます」(前出・在米スポーツジャーナリスト)
ルール面も米国が有利になるとの見方がある。今大会は1次ラウンド後と準々決勝後に投手のみ、それぞれ登録外の選手と2人ずつの交代が認められる。前出・スポーツ紙記者が語る。
「前回大会も似たような『指名投手枠』ルールがあり、1次ラウンドと2次ラウンド後に入れ替えができましたが、選手層が厚く、国内の選手を呼びやすい開催国の米国に有利に働いたと言われた」