生徒数の増加と硬式野球部の復活は「並行して考える」
――3代教祖の御木貴日止(みき・たかひと)氏が2021年12月に亡くなり、それ以降は教祖不在の状況が続いている。信者のPL離れが、即ち学園離れにつながっているのではないか。
「影響はあると思いますが、これまでおしえおや様(PL教団で教祖を意味する)が残してくださったお言葉が学園にはいろいろありますので、今はそれを一つひとつチェックしながら、振り返りながら、何ができていないかをしっかり確認しているところです」
――生徒数を増やそうとするならば、信者以外の学生にも門戸を開くべきではないか。
「それも含めて、どういうやり方がいいのか、検討しているところです」
桑田真澄氏が野球部OB会の会長に就任した2019年、桑田氏は教団の聖地を訪問した。その時、桑田氏に対して野球部の復活について前向きな発言をした人物が川上氏だった。しかし、現在の教団および学園に、野球部の復活を考える余裕などないというのが私の見解だ。
――硬式野球部の復活を願う声は今も大きい。
「私は復活しようと思って動いています」
――え、復活の計画があるのか。
「はい。復活しようという気持ちは十分あります。野球部のOBの方がとも話し合いながら、どういうあり方ができるのかを話し合っているところです」
――しかし、2019年以降も話が進展しているという話は聞こえてこない。いまも存続している高校の軟式野球部も部員がなかなかそろわず、苦しい状況が続いている。そもそも、一学年の生徒が、野球ができるギリギリの人数程に落ち込むことが予想されるなかで、復活など考えられるのか。
「生徒数を増やすことと、野球部の復活は、並行して考えていかないといけないと思っています」
――今年1月のOB会総会のあと、桑田真澄氏は翌日に再び聖地を訪問して、「幹部と会う」と明かしていた。その時も立ち合ったのか。
「はい。今後の野球部のことや、今の生徒の状況をざっくばらんにお話ししました。そして、私としては復活を視野に入れているということをお伝えしました」
悪天候に見舞われた2023年度の受験日に、私は久しぶりにPL学園の外周を歩いた。聖地内を覗けば人気がまるでなく、老朽化して使われていない建物や廃墟も目立つ。
--2009年に廃校となったPL学園女子短期大学のように、「廃校」を考えたことはないのだろうか。
「いえいえ、今も学んでおる生徒がいますので、そんなことは考えておりません。ただ、生徒数が減少しているということに関しては、危機感を持っています」
幾度も「野球部を復活させたい」と口にした川上氏ではあるが、学園だけでなく教団の瓦解は、私の予想をはるかに上回る速度で進んでいる。学園の立て直しこそ急務で、硬式野球部の復活は現状、夢物語でしかない。
(了。前編から読む)