ペットを飼うということは、いずれ訪れる別れを覚悟しなければならない。「ペットロス」の概念は昨今浸透してきたが、実は、鳥のペットロスの深刻さは、他の愛玩動物を凌駕するという──。
「逆縁」とは親が子を看取ることを指し、親は筆舌に尽くしがたい苦しみに襲われる。愛鳥のペットロスには、逆縁に匹敵する壮絶さがあるという。
木村佳乃(46才)は、愛鳥のロスに苦しむひとりだ。彼女は7年間文鳥を飼っていたというが、これまで表立ってその事実を明かしたことはなかった。夫の東山紀之(56才)も同様である。文鳥の存在は秘されていたが、その死に木村は大きなショックを受けたようで、思わず涙したことを明かした。
《私、涙もろくないんです。とにかく人前で泣くのが恥ずかしくて。(中略)先月7年飼っていた文鳥が死んだとき泣いていました。最後頑張っている姿を見たら自然と涙が溢れ出ました》(『STORY』2023年3月号)
愛鳥のロスに苦しむ有名人は木村だけではない。フリーアナウンサーの新井恵理那(33才)は、2021年9月にブルーボタンインコの「ラピス」を失い《もっと早くに、専門医に診てもらっていたら…と悔やんでも遅く、自分の甘さに怒りと失望を感じています》という後悔をSNSに綴った。
鳥のペットロスの悲しみは、深く長い──。
4年前にセキセイインコを亡くした経験を持つ、教師の鹿山礼子さん(47才)は、そのときのことを振り返り、つらい記憶を明かす。
「かわいいんですよ。言葉を覚えるから。夫が昔話の読み聞かせを日課にしていたら、『むかしむかし』と話しかけると『おしまい』としゃべるようになったんです。
いまも、家にあるケージを見ると涙が出てきます。この子をきちんと育てられなかった私には、教師をする資格はないと思っています」
3年前に文鳥の「ピロン」を亡くした小川江里子さん(54才)も、言葉を振り絞る。
「あまりにつらくて悲しくて、ケージやお気に入りのショールなど、思い出の品は亡くなった週のうちに捨てたんです。
それでも思い出します。テレビを見ていたら、膝に乗ってきたな。パソコンで作業をしていたら、手に止まって甘えてきたな。みかんを食べていたら、自分も欲しいとおねだりされたな。何をしていても胃が締め付けられる思いです。この苦しみは、子を看取ることに匹敵します」