グローバル規模で音楽市場を席巻しているK-POP業界の地殻変動は、日本のファンにとっても他人事ではないようだ──。世界的な人気グループ・BTS(防弾少年団)や、昨年末の紅白歌合戦に出場したLE SSERAFIMなどが所属する韓国の芸能事務所「HYBE」が、BoAや東方神起、少女時代、SHINeeなどを擁する「SMエンターテインメント」(以下SMエンタ)の筆頭株主となることが発表された。
新興事務所だったHYBEは、BTSの世界的な人気を受けて一気に巨大企業へと成長した。近年も、日本人メンバーのニキが所属するENHYPEN、宮脇咲良が所属するLE SSERAFIMなどのグループを輩出。国籍を超えたグローバルグループが次々とヒットを飛ばすほか、元欅坂46の平手友梨奈が同社への移籍を発表したことでも話題を呼んだ。その一方で事務所の大黒柱であるBTSは、最年長メンバーのJIN(ジン)が兵役に入り、今後数年間、グループ活動を休止せざるをえない状況となっている。
そのHYBEが、SMエンタ創業者のイ・スマン氏が保有する保有株18.5%のうち14.8%分を4200億ウォン(日本円で約440億円)で取得し、SMエンタの筆頭株主となる。
同時に、HYBE側は「当社はSM持分に対する公開買収など、買収に関する事項を継続して検討中」とコメント。少数株主が保有しているSMエンタ株のTOB(株式公開買い付け)にも着手し、SMエンタ株を43.5%まで買い増す計画を発表した。「両社の力を集結し、世界の音楽市場のゲームチェンジャーに跳躍する」と意気込みを語っている。
現状、SMエンタの現経営陣が提携に反発しているとも報じられており、HYBEの思惑通りに進むかはわからないが、もし両事務所が強く結びついた場合、K-POPの勢力図が大きく塗り替えられることになるのは必至だ。