スポーツ

男だらけの予備校生活の通学中に見つけた「日航CA」の求人募集【力道山未亡人~元日航CA・田中敬子の数奇な半生~#13】

2023年2月14日。田中敬子(左)と「娘のようで、クラスメイトでもある」という株式会社クイックはあと代表の鈴木裕枝

2023年2月14日。田中敬子(左)と「娘のようで、クラスメイトでもある」という株式会社クイックはあと代表の鈴木裕枝

“日本プロレスの父”力道山が大相撲からプロレスに転向し、日本プロレスを立ち上げてから2023年で70年が経つ。力道山はすぐに国民的スターとなったが、1963年の殺傷事件で、39年間の太く短い生涯を終えた。しかし、力道山を取り巻く物語はこれで終わりではない──。彼には当時、結婚して1年、まだ21歳の妻・敬子がいた。元日本航空CAだった敬子はいま81歳になった。「力道山未亡人」として過ごした60年に及ぶ数奇な半生を、ノンフィクション作家の細田昌志氏が掘り起こしていく。第13話では浪人中に将来の「職業」に出会った瞬間が明かされる。【連載の第13回。1回から読む】 

  * * * 

13話「予備校生活」 

  駿台予備校の歴史は古い。 

  東京外国語大学卒業後に米国に留学、ハーバード大学やアマースト大学で英語学、英文学を修め、帰国後は明治大学教授となる山崎寿春が、1918年に神田錦町に設立した東京高等受験講習会がその前身となる。 

  1927年には神田駿河台に駿台高等予備学校を設立、戦後の1952年に学校法人駿河台学園として多角的な学校経営に乗り出した。中でも大学予備校はベビーブームも相俟って入学希望者が殺到し、東大合格者の3分の1前後を駿台予備校出身者で占めるようになると「国公立と有名私立に強い」という評判は完全に定着した。 

  受験戦争真っ只中の1972年度を例に挙げると、東大合格者数3063人中1242人が駿台予備校出身で、最難関の理III(医学部)に至っては90人中44人。2022年度も1362名もの合格者を送り出している(グループ関連法人の在籍生及び各講習受講生も含む)。 

 「早慶や国立二期校にうかっても、それをふって東大に行きたいという学生がかなり来ていますよ。受験生の水準が非常に高いから、うちに入学すれば、国立や有名私立はまず間違いないでしょう」(駿台予備校教務部次長だった伊藤力/『週刊読売』1973414日号) 

  1973年に理IIIに合格した浪人生は、次のように証言している。 

 「小手先の授業ってありませんね。いわゆる受験校よりも、内容は基本的なことをガッチリやっていますね。暗記中心よりも、基本的な考える力をつけていこうとする授業ですから、ぼくなんか、高校のときより授業がおもしろかったな」(同) 

 好奇の目に晒されても「勉強に集中」 

  国際基督教大学(ICU)を志望しながら現役合格はならず、浪人を選択した18歳の田中敬子が、横浜駅前の予備校には見向きもせず、御茶ノ水の駿台予備校を選んだのも、高い合格率に惹かれたからなのは言うまでもなく「伝統的に英語に強い」という評判も無視できなかったからだ。

関連記事

トピックス

『激レアさんを連れてきた。』に出演するオードリー・若林正恭と弘中綾香アナウンサー
「絶対にネタ切れしない」「地上波に流せない人もいる」『激レアさんを連れてきた。』演出・舟橋政宏が明かす「番組を面白くする“唯一の心構え”」【連載・てれびのスキマ「テレビの冒険者たち」】
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平が帰宅直後にSNS投稿》真美子さんが「ゆったりニットの部屋着」に込めた“こだわり”と、義母のサポートを受ける“三世代子育て”の居心地
NEWSポストセブン
現場には規制線がはられ、物々しい雰囲気だった
《中野区・刃物切りつけ》「ウワーーーーー!!」「殺される、許して!」“ヒゲ面の上裸男”が女性に馬乗りで……近隣住民が目撃した“恐怖の一幕”
NEWSポストセブン
シンガポールの元人気俳優が性被害を与えたとして逮捕された(Instagram/画像はイメージです)
避妊具拒否、ビール持参で、体調不良の15歳少女を襲った…シンガポール元トップ俳優(35)に実刑判決、母親は「初めての相手は、本当に彼女を愛してくれる人であるべきだった」
NEWSポストセブン
「ミスタープロ野球」として広く国民に親しまれた長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
《“ミスター”長嶋茂雄さん逝去》次女・三奈が小走りで…看病で見せていた“父娘の絆”「楽しそうにしている父を見るのが私はすごくうれしくて」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ犯から殺人犯に》「生きてたら、こっちの主張もせんと」八田與一容疑者の祖父が明かしていた”事件当日の様子”「コロナ後遺症でうまく動けず…」
NEWSポストセブン
「グラディアトル法律事務所」の代表弁護士・若林翔氏
【改正風営法、施行へ】ホストクラブ、キャバクラなどナイトビジネス経営者に衝撃 新宿に拠点を持つ「歌舞伎町弁護士」が「風俗営業」のポイントを解説
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「本人にとって大事な時期だから…」中居正広氏の実兄が明かした“愛する弟との現在のやりとり”《フジテレビ問題で反撃》
NEWSポストセブン
長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督からのメッセージ(時事通信フォト)
《長嶋茂雄さんが89歳で逝去》20年に及んだ壮絶リハビリ生活、亡き妻との出会いの場で聖火ランナーを務め「最高の人生」に
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「兄として、あれが本当にあったことだとは思えない」中居正広氏の“捨て身の反撃”に実兄が抱く「想い」と、“雲隠れ状態”の中居氏を繋ぐ「家族の絆」
NEWSポストセブン
今年3月、日本支社を設立していたカニエ・ウェスト(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストが日本支社を設立していた》妻の“ほぼ丸出し”スペイン観光に地元住人が恐怖…来日時に“ギリギリ”を攻める可能性
NEWSポストセブン
現在、闘病中の西川史子(写真は2009年)
《「ありがとう」を最後に途絶えたLINE》脳出血でリハビリ中の西川史子、クリニックの同僚が明かした当時の様子「以前のような感じでは…」前を向く静かな暮らし
NEWSポストセブン