臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、岸信夫・前防衛大臣(63才)の跡を継ぐと表明した岸信千世氏(31才)など政治家の世襲について。
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最近、メディアやネットである”世襲”に関する2つの出来事が話題になった。1つは、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記が娘のキム・ジュエさんを公式の場に再登場させたことだ。2月8日、朝鮮人民軍の創設記念日を祝う軍事パレードなどを公開した。映像には手をつないで歩き、並んで立つ親子の姿があった。2022年11月、初めてその姿を見せたのはミサイル発射場で、今回は軍事パレード。主要な行事に相次いで登場させたことで、後継者候補かという見方がされている。
それにしてもよく似た親子だ。顔も体形もそっくりだ。メディアや専門家らは娘を登場させることで白頭血統を強調し、4代世襲体制を強固にしようとする狙いがあったと分析しているが、これだけそっくりな親子なら、見ただけでロイヤルファミリーの血統をアピールすることができるだろう。金総書記には息子もいるはずだが、なぜ彼女が表舞台に?という疑問も、もしかするとジュエさんが、金総書記に一番よく似ているからかもしれない。
この場では、愛娘の頭をなでる金総書記の姿も映し出されていた。そこには、北朝鮮にとって慈悲深い人間的な父というイメージを金総書記が演出したかったのではという見方もある。「尊敬するお嬢様」の登場と振る舞いが彼女に好印象をもたらしたかは不明だが、父親のイメージアップにはつながったのかもしれない。
もう1つは2月7日、衆院山口2区の補欠選挙への出馬を表明した岸信千世氏の公式HPだ。このサイトで信千世氏は、自身のプロフィールとともに「家系図」も掲載。家系図には、父である岸信夫前防衛大臣だけでなく、総理大臣だった曾祖父・岸信介氏(享年90)や叔父の安倍晋三氏(享年67)ら6名の名前が並ぶ。まさに華麗なる政治家一族。
物議を醸したのはこの家系図。NEWSポストセブンでは、2月13日の『岸信夫防衛省の長男・岸信千世氏の公式HPから批判続出の「家系図」が削除されていた』という記事を掲載している。サイト自体が「岸信夫公式サイト」のドメインを引き継いだものだったことや、掲げた政策がイマイチだったこともあり、家系アピール、世襲自慢とみられ、ネット上で批判が噴出。批判を受けてか、13日のうちに家系図は削除された。