松本潤(39)が主人公の松平元康(のちの家康)を演じるNHK大河ドラマ『どうする家康』が、意外なところで話題を呼んでいる。
これまでの時代劇では泰然自若の“狸親父”として描かれていた徳川家康だが、題名のごとく常に「どうする?」と動揺。イメージと異なる家康像に、SNS上で一部の大河ファンから〈こんな家康は違う〉〈歴史考証がおかしい〉との声があがっている。これに対し、同番組の時代考証を担当する歴史学者の平山優氏が、自身のTwitterで放送回ごとに解説。脚本の元となった歴史資料をひとつひとつ上げながら、ドラマの内容を批判する「アンチコメント」を論破し、さながら“場外乱闘”となっているのだ。
1月8日の初回放送日には、〈今川がらみのシーンはまずまずよかったんだけどなぁ。しかし戦場で具足プレゼントするとかあるんかね、知らんけど。〉というツイートに対し、〈戦場で、大将が軍功を挙げた家臣らに、刀剣、甲冑などを下賜するのは頻繁にみられることです。何ら問題ありませんよ〉とコメント。その後も時代背景を理解していないとみられるコメントに対しては、〈史料も論文もちゃんとした歴史書もカバーしていない人は、自重したほうが賢明〉〈ドラマの感想や想いは自由ですが、史実で斬り込んでくるのは、無謀としか〉とバッサリ。
この騒動について、同局放送中の時代劇『大奥』で時代考証を務め、過去にNHK時代劇ドラマの歴史考証を務めた経験がある、歴史研究家の河合敦氏はこう話す。
「家康ほどの武将となると日々研究が進められ、新たな資料が見つかったり、毎月のように新解釈が登場している。今回の家康像は斬新だな、というイメージがありますが、新説も取り入れられ、時代考証はしっかりとなされていると感じます。例えば第1回では今川義元が家康を大切にしているという描写が出てくるのですが、今までは人質として今川の元で悲惨な生活を送っていたとされる家康が実は客分として丁重に扱われていたという新説をとっている。
また、『俺は忍者ではない』と言い切り話題になった服部半蔵(山田孝之・39)について。彼は三河の生まれの可能性が高く、家康にずっと使えている譜代の家臣なので“忍”ではないんです。ただ、父や親族が伊賀の出身だったこともあって、忍だと言われてきましたが、今回の大河では本人は『忍者ではない』という新説を取り入れてます」
第5回、6回で登場した松本まりか(38)演じるくのいち「女大鼠」も大きな話題を呼んだ。作中では女大鼠は変装の天才として遊女や村娘などに姿を変え、今川の人質となっている瀬名(有村架純・30)ら家康の妻子奪還のため、八面六臂の活躍をみせるのだ。
「女大鼠ら、忍者たちの動きは創作がかっていると思うものもあったりします。ただ、いままで歴史家の間では『忍者なんていない』と言われていたのですが、最近になり忍研究がさかんとなり、戦国時代の忍の活躍とか、実際にまきびしのようなものがみつかったりしている。女大鼠のような『くのいち』がいたかはわかりませんが、これは『許される創作』だと思いますね」