話数を重ねるごとに個性豊かな人物が次々と登場するNHK大河ドラマ『どうする家康』。そのなかでも異彩を放っているのが、千代役を演じる古川琴音(26)だ。千代は、家康三大危機の一つ「三河一向一揆」の拠点として知られる本證寺の境内でミステリアスに舞う巫女で、家康(松本潤)と住職の空誓(市川右團次)が出会うきっかけをつくる。伝承のみの実在不明の人物とされている。NHK局員が語る。
「今回の大河ドラマの非常に重要なキャストの1人です。ほとんどオリジナルのキャラなので、俳優の演技力や想像力が試される難役でもある。古川さんは大河初出演が決まった際は『夢のよう』と語っていたそうですが、撮影現場では浮ついた様子は一切なく、表情も真剣そのものです」
初登場となった第7話ではそんな難役を軽妙にこなした古川。今回の大河出演で初めて彼女を知った視聴者もいたかもしれないが、すでに業界では「実力派女優」として知られた存在だ。
中学、高校と演劇部に所属していた根っからの演劇少女だった古川は、満島ひかり(37)に憧れて同じ芸能事務所「ユマニテ」の門を叩き、見事合格を勝ち取る。ユマニテは、安藤サクラ(37)、岸井ゆきの(31)、門脇麦(30)ら実力派揃いの俳優が多く所属していることでも注目されている事務所だ。
そして2018年に女優デビュー。2019年公開の映画『十二人の死にたい子どもたち』でメインキャストの一人であるミツエを演じ、脚光を浴びた。その1年後もNHK朝ドラ『エール』や『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(フジテレビ系)などの話題作に出演し、2021年にはベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した『偶然と想像』でヒロインを演じた。
「ミュージカルのオーディションのために防音が施された部屋に引っ越したり、休日も台本の台詞を入れたボイスメモを聞きながら散歩したりと演技に対して超ストイック。若いながらも洗練された演技に魅了されているテレビ局関係者は多く、業界内で“古川さんをドラマで使いたい”という声を最近よく聞きます」(テレビ局関係者)
そんな古川には『どうする家康』に出演するある女優と“ミステリアス”な縁があるようだ。芸能ジャーナリストの三杉武氏が語る。
「家康の正室・瀬名を演じる有村架純(30)と共演が多いんです。2021年のドラマ『前科者―新米保護司・阿川佳代―』をはじめ、『コントが始まる』(日本テレビ系)では姉妹役を演じた。共演が多いのは偶然かもしれませんが、間近で有村の演技を見てきた古川は、女優の先輩として、とても尊敬しているそうです」
果たして大河では、有村と今後どんな化学反応を見せてくれるのか。
※週刊ポスト2023年3月3日号