旧統一教会信者である両親から止められ、教団から妨害されても屈せず、顔を出して宗教2世としての被害を訴え続けてきた小川さゆりさん。昨年12月に小川さんが参考人として参議院の特別委員会に出席し、「被害者救済法案」制定の立役者となってから約2か月、両親との間に新たな動きがあった。1月末、月刊誌『Hanada』(飛鳥新社)に、「両親が覚悟の独占告白 国政を動かす『小川さゆり』の真実」という記事が掲載された。
同記事では、合同結婚式で結婚し教会に残り続けている小川さんの両親が「娘の発信は事実ではない」と訴える声を載せ、小川さんの話には全く信憑性がないと主張。さらに、小川さんから聞きとりをした際の動画をYouTubeに投稿している立憲民主党の議員に対し、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)が裁判を起こしていることも明かされた。
小川さんと両親が双方の証言者として対峙する可能性もあるなか、小川さんが自らの半生を綴った手記『小川さゆり、宗教2世』が、来月刊行される予定だ。
「現在私は統一教会から間接的に訴訟を受けています。そんななか、『私の主張は事実と異なる』という一方的な記事も出ており、それらに同調した方々から毎日たくさんの誹謗中傷と思われる言葉を受けています。
しかし私は、ひとりでも多くの方に宗教2世の問題、宗教による被害の問題を知ってもらいたい。そのためにも、発信を続けていきたいと考え、手記をまとめました」(小川さん)
小川さゆりさんのこれまで
小川さんは、旧統一教会元2世信者。幼少期から教会中心の生活を送るが、教会の教えとそれを信仰する両親に疑問を持ち、脱会。昨年7月の安倍晋三元首相銃撃事件を機に、「小川さゆり」の名で被害の発信を開始した。
10月の日本外国特派員協会での会見中に両親の署名入りのFAXが届き「会見中止」を要求されるも、「どうかこの団体を解散させてください」と涙ながらに訴え、注目を集めた。12月には被害者救済法案を審議する参議院の特別委員会に、参考人として出席。新法の早期成立の立役者となった。
※週刊ポスト2023年3月3日号