元横綱・白鵬の宮城野親方が実行委員会の名誉会長を務める少年相撲大会「白鵬杯」が、2月12日に両国国技館で開催された。今年で13回目となる同大会は海外からの7チームを含む122チーム、920人が参加する大イベントとなった。
スポーツ紙などでも大きく報じられたことから、相撲協会が全面的にバックアップしている大会と思うファンも少なくないかもしれないが、公式パンフレットに「日本相撲協会」の名前はない。大相撲の裾野を広げることに貢献していると考えれば、本来は相撲協会が主催してもいいようなイベントだ。ところが、後援に名を連ねているわけではなく、協会のホームページにも告知はなかった。
白鵬杯の特別協賛となっているのはパチンコメーカーのSANKYOで、協賛企業にきらぼし銀行やすしざんまいを運営する喜代村など20社が名を連ねるが、やはり相撲協会は入っていない。協会関係者はこう話す。
「八角理事長(元横綱・北勝海)をはじめ、他の親方衆は“余計なことを……”という感じではないか。もともと相撲協会は、東京青年会議所と共催というかたちで『わんぱく相撲全国大会』を続けてきた。8月の夏休み期間に開催されていた同大会は、全国から集まった出場選手が相撲部屋に泊まり、稽古を体験するというのがセットになり、表彰式には理事長や理事が出席、決まり手係も親方衆が務めていた。
コロナ禍で2020年は中止となり、10月開催になった2021年からは東京青年会議所と(アマチュア相撲を統括する)日本相撲連盟の共催というかたちになったが、相撲協会は後援という役回りで引き続き支援している」
37回を数えるわんぱく相撲全国大会は、4万人ともいわれるちびっこ相撲の競技者のうち、全国の予選を勝ち抜いてきた個人と団体が国技館で日本一を競う大会だ。
「個人優勝者はわんぱく横綱として土俵入りもする。いわば“相撲界の甲子園”だが、それに対して白鵬杯は自由参加の親睦大会。にもかかわらず、協会が後援する大会より目立っている。しかも白鵬が巧みなのは、出場者のなかの有望株を自身と縁の深い中学や高校などに送り出し、成長してから部屋にスカウトするという戦略につなげているところ。同様のことをやろうにも上手くやれない協会幹部の側としては、“あの大会は白鵬が得をしているだけじゃないか”という反発になるのではないか」(前出・協会関係者)
白鵬杯は第3回大会まで国技館の使用もかなわず、大阪や有明(東京)で開催してきた経緯もある。相撲協会に白鵬杯をどう位置づけているのか、支援の有無などについて聞いたが「お答えすることはありません」(広報部)とするのみだった。