「目標は世界一しかない」と語る侍ジャパンの栗山英樹監督(61)。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)には特有のルールや制約があり、たとえば投手起用については、1試合につき1次ラウンド65球、準々決勝80球、準決勝以降は95球の球数制限があり、50球以上投げると中4日、30球以上投げると中1日の登板間隔が求められる。
厳しいルールに備えて侍ジャパンは過去最多の15人の投手を招集したが、采配は容易ではない。投手起用法も栗山監督の手腕が問われるところだ。
2009年のWBCで投手コーチを務めた山田久志氏が語る。
「ローテーション、球数、調子などを短期決戦で判断するのは大変な作業なんです。私は2009年のWBCでベンチに数字カウンター器を持ち込んで1球ずつ数えていました。今大会ではタイブレーク制に備えて先発を担えるような投手もリリーフとして残す必要があるかもしれません」
1次ラウンドはチーム同士の勝敗が並んだ場合、失点率や防御率などで順位が決まるため、投手起用は特に重要になる。
元日ハム担当記者は栗山監督の構想をこう予想する。
「今大会での投手起用について栗山監督は、『先発よりも第二先発など継投が重要』と発言しています。先発はパドレス・ダルビッシュ有(36)、オリックス・山本由伸(24)、ロッテ・佐々木朗希(21)らが有力ですが、短いイニングで交代させて、オリックス・宮城大弥(21)、ヤクルト・高橋奎二(25)といった左投手もどんどん起用し、相手に的を絞らせないようにするのではないか」
2019年シーズンの日ハム時代、栗山監督は先発投手が打者一巡程度を投げたのち、タイプの異なる投手が2番手を務める「栗山流オープナー」と呼ばれる独自の戦術で勝利を重ねた。WBCでもこうした“奇襲”が敢行されるかもしれない。
さらに前出・山田氏は「ストッパーも悩ましい問題だ」と語る。
「準決勝、決勝のカギを握るのは抑え投手です。2009年大会は悩んだ末、“ダルビッシュしかいない”と判断し、私と原辰徳監督の2人がかりでダルビッシュを口説き落としました。見事、期待に応えて決勝の最終回を締め括ってくれましたが、今大会の終盤も栗山監督は抑えをどうするか今から考えているはずです」