テレビ東京と日本経済新聞が共同で運営するYouTubeチャンネル『日経テレ東大学』。ネットですこぶる訴求力の高いひろゆき氏やイェール大学助教の成田悠輔氏などを起用し、開局2年弱でチャンネル登録者数を100万人超に押し上げた超優良コンテンツだが、その仕掛け人であるテレビ東京の高橋弘樹氏が2月で同社を退社することが判明。3月には『日経テレ東大学』も閉鎖されるという情報も飛び交い、物議をかもしている。
「高橋さんは今やテレ東の看板番組である『家、ついて行ってイイですか?』を企画した名物プロデューサーです。『日経テレ東大学』をめぐる会社の考えに納得がいかず、退社を決意したとみられています。
退社後はYouTuberをやるとも言われていますが、『日経テレ東大学』を2年弱でここまで成長させた企画力や演出術は本物。ある就活動画で『年収は執筆業などの副業もあわせると1600万円』と答えていましたが、フリーランスになれば2倍は稼げるでしょう。そもそも予算の少ないテレビ東京でヒット企画をつくることすら難しいのに、そんな腕のある名物社員を手放すのは本当にもったいない。テレ東社内では、優秀な先輩の予想外の独立に、若手社員を中心に動揺が広がっています」(テレ東関係者)
テレビ東京と言えば、『ゴッドタン』を生んだ佐久間宣行氏も2021年3月に退社。こちらは「テレビ東京と契約してすべての番組を引き続き担当する」という円満退社と言われているが……。
「佐久間さんはYouTubeのチャンネル登録者数が84万人で、著書も10万部を突破。Netflixの番組『トークサバイバー』なども手掛け、少なく見積もっても収入は億を超えているでしょう。もちろん、テレビマンの誰もが佐久間さんや高橋さんほど有能ではないので、みんなが追随することはないでしょうが、テレビ界に対して収入もやりがいも感じられず、テレビに見切りをつけようと準備している20代30代の社員が多いのは事実。佐久間さんや高橋さんはその象徴的存在だと思います。“デキるやつからテレビ界を離れている”というのは、最近よく業界で囁かれている言葉ですが、状況的にはその言葉どおりになりつつあります」(前出・テレビ東京関係者)
テレビ局勤務と言えば、「エリートサラリーマン」のイメージが根強くあったが、それは過去の話なのかもしれない。昨年、フジテレビでは満50才以上の社員に対する「希望退職者」を募った。「退職金割り増し1億円」との噂もあり100人以上が応募したという。『めちゃめちゃイケてる』を生んだ片岡飛鳥氏ら同局を代表する名物社員までもが退社した。某テレビ局の30代社員はこう明かす。
「退職者に有名な方々が多かったのには驚きましたが、残った幹部社員の一部が今後の若手社員のいい見本になるのかと言うと……彼らの中にはテレビ局で定年まで逃げ切ることを最重要に考えている人が少なくないからか、最近はコンプライアンスなどは鬼のように遵守し、面白さより“事なかれ”を優先する幹部が増えてきた。それが頻繁に現場を混乱させています。僕らからしたら老害以外の何物でもない。
30代の制作現場にいるテレビマンの中には、早く自分の企画でヒットを飛ばし、テレビ界を脱出しようと画策している人も少なくありませんね。TBSを2年でやめて今や登録者数113万人のYouTuberとなった『あるごめとりい』のふたりや、テレビ朝日で数々のヒットを飛ばし今年からAmazonへ転職した芦田太郎さんはまだ37歳。やはり“できるテレビマンほどテレビ界に見切りをつけるのは早い”と思います」