今、称賛と評判の声しか聞こえてこない俳優と言えば、この人を置いて他にはいないだろう。1月下旬の夜、都内の劇場から出てきた、黒のロングダウンジャケット姿の小池栄子(42才)のことである。全身ブラックのシックでまとまりのある服装に、マスク越しにのぞく顔はナチュラルメイク。長い髪を簡単にまとめた楽なスタイルで、家路についてった。
「素顔もテレビバラエティーで見るままの飾らない表裏のない性格で、この私服姿の印象そのものです。多くの業界関係者たちから“今,最も起用したい俳優”として引っ張りだこで、重要な役から脇役まで何でもこなせる演技力の高さは、視聴者からも高評価。本当に稀有な人です」(小池を知る映画関係者)
特に昨年1年間は、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に北条政子役として初回から最終回まで出演。主演の北条義時役の小栗旬(40才)に次ぐ“準主役”として、名脚本家の三谷幸喜(61才)作品で花を咲かせて、大河ドラマファンから大絶賛された。もはや、押しも押されもせぬ日本屈指の演技派女優である。
芸能界デビューした1990年代は、グラビアアイドル界の一大勢力を誇った芸能事務所イエローキャブ所属で、バスト91センチが売りのグラドルだった。しかし、20代後半に小説家の村上龍(71才)とビジネス番組『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)のサブMCを任されたころから、潮目が変わった。「頭の回転の速い気の利くタレント」として松本人志(59才)ら大御所たちの目にも次々と止まり、バラエティータレントとしてもゲスト扱いからレギュラーやMCへと格がアップ。
同時に、デビュー当初から志望していた女優業では、2008年に小規模作品ながら主演映画『接吻』で演技力を評価され始めた。決定的だったのは、2011年の映画『八日目の蝉』。主演の井上真央(36才)や永作博美(52才)といった実力派と共演しながら、「その二人をも食った見事な演技」とまで絶賛され、見事なイメージチェンジに成功した。その後も、ヒットドラマ『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)での秘書役などで、名バイプレイヤーとして座を完全にモノにしてきた。