国内

【初告白】マウスピース矯正トラブルで集団訴訟 被告の運営当事者が語った金の流れ

取材に答える「グランシールド」社の中村佳敬社長が

取材に答える「グランシールド」の中村佳敬社長

「女性セブン」2月16日発売号で報じた「マウスピース矯正」トラブル。全国で複数の歯科クリニックを展開していた「デンタルオフィスX」(以下、「X」)は、モニターモデルとして契約をすればマウスピース矯正を「実質タダ」で受けられると患者たちを勧誘。患者らは、治療を開始する前に187万円もしくは157万円の治療費用を一括で「X」に支払う必要があるものの、その全額は、月々の分割で「X」の運営に関わっていた「グランシールド」から「モニター報酬」として支払われると説明されていた。

 しかし、2022年3月頃から患者への返金が遅延し始めた。当初は「ロシアによるウクライナ侵攻が原因で、送金システムが停止した」などと説明されたが、昨年秋頃にはクリニックとも連絡がつかなくなり、今年1月下旬に突然、クリニックの閉院が伝えられた。

さらに、「X」が提供していたマウスピース矯正を巡っては、「あごの痛みやかみ合わせの悪さが強まった」「治療前より歯列の状態が悪化した」などと健康被害を訴える声も上がっている。

1月26日には「X」でマウスピース矯正治療を受けていた患者約150人が、同院の医師や運用会社の経営幹部を相手取り、総額約2億円の損害賠償を求める集団訴訟を起こした。原告側の代理人を務める加藤博太郎弁護士によると「被害者は1500人以上、被害総額は20億円以上」にのぼるという。

 今回、「X」の運営に関わり、集団訴訟で損害賠償請求を受けた「グランシールド」社の中村佳敬社長が、初めてメディアの取材に応じた。

――集団訴訟にはどう対応されるのか。

「集団訴訟に関してはまだ訴状が届いていないので、訴状を確認し次第、対応させていただきます。被害にあわれた患者さんには、当社として責任のある契約についての返金はできる限り対応していきたいと思っています」

――「X」を開業した経緯は?

「『X』の運営を一緒にやることになる歯科医師・伊藤剛秀氏のクリニックに、2017年末頃、私が患者として来院したのがきっかけでした。伊藤先生のもとで『インビザライン』というマウスピース歯科矯正を受け、私自身の治療は非常にうまくいったので気に入っていたところ、伊藤先生と、そのビジネスパートナーである『アーサー』社の小島隆一社長から、『歯科矯正のクリニックを新たに開業したいが、開業資金が足りない』というお話を聞き、私は出資者として参加することにしました。初年度は5000万円ほど出資し、2019年1月、『X』の第1号クリニックとなる、博多院(福岡)がオープンしました。

 当時、『X』の収益については、伊藤先生と小島氏と私で、ざっと3等分するという約束を交わしました。ただ、私はあくまで出資者であり、クリニックの実質的な運営は伊藤先生と小島氏に任せていたような状態でした。

 この度の『X』を巡るトラブルについては、私と伊藤先生と小島氏の3人しか、モニター制度などクリニックの経営について知る立場になかったので、まずその3者に責任があります。経営とは無関係なのに、『X』にお客さまを紹介してくださった方々や、クリニック運営に協力してくださった歯科医、スタッフ、その他の方々にも大変なご迷惑をおかけしており、本当に申し訳なく思っています」

――モニター制度を始めたのはどうして?

「博多院は当初、売上が上がらず苦戦していました。そこで、集客につなげようとモニター制度を考案し、実施し始めたのは2019年4月頃から。モニターさんに一定数集まっていただいて、治療効果を継続的に発信してもらえれば、その宣伝効果で集客できるのと同時に、私ども『グランシールド』の本業は社債運用などの金融関係なので、モニター制度で集めた資金を運用すれば、運用益で『X』の経費などをまかなえるのではないかという考えもありました。

 私としては、安定してクリニックを経営するためには、治療費が実質的に無料になるモニターさんが増えれば、一般のお客様も増加すると考えていました。モニター制度が始まると、小島氏からは『かなり売上が上がってきている』と知らされ、安心していました。ところが、実際には『X』の売上のほとんどがモニター契約をした患者さんでした」

関連記事

トピックス

氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン