【著者インタビュー】森岡督行さん/『ショートケーキを許す』/雷鳥社/1870円
【本の内容】
《日本に根づいて100年といわれるショートケーキ。次の100年もきっとまた人々の笑顔の傍にあるだろうショートケーキ。/「フレーフレーショートケーキ」/少しづつ思い出に変わっていくことを願いながら応援し続けます》。こんな「はじめに」の言葉とともに始まる25編とコラム。ショートケーキへの愛とおいしさ、食べる時間の豊かさが文章から伝わり、いますぐショートケーキを食べたくなる。掲載されたお店の一覧も載っているので、ショートケーキを食べながら読むのもオススメ(編集者:試しましたが、至福の時間でした!)。
ショートケーキへのあふれる愛を一冊の本にまとめた。
「3年ほど前、銀座についての連載をしているときに調べものをしていて、ショートケーキが100周年を迎えるということがわかりまして。ショートケーキって、子どものころから、誕生日だったり記念日だったり、何かいいことがあったら祝ってくださっていたな。100周年を迎えるなら、なにかショートケーキをお祝いしてみてはどうだろう。そんな軽い気持ちで本づくりが始まりました」(森岡督行さん・以下同)
森岡さんは、「一冊の本を売る書店」という、世界でも珍しいユニークな店づくりで知られる書店店主で、その森岡書店銀座店は銀座一丁目にある。本に紹介されている、資生堂パーラーや銀座千疋屋、帝国ホテル東京のショートケーキを歩いて食べに行ける距離にある。
「コロナ禍でもあり、なかなか遠くまでは行けない時期でしたけど、逆に近くにある豊かさを再発見できました。銀座店のある周辺は、おいしいショートケーキの街だと実感しました。いわば『メッカ』のような場所なんですよ」
歩きながら、食べながら、さまざまなことに気づき、本の章立てができあがっていったという。
ちなみに、不二家が「ショートケーキ」を販売したのが大正11(1922)年。現在のショートケーキとは少しスタイルが違っていたが、大正12年に撮影された資生堂パーラーの店内写真に「ストロベリーショートケーキ30銭」の文字が見てとれるという。今日のショートケーキの原型が、100年ほど前に日本に現れたというのは確からしい。