いよいよ開幕するWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の1次ラウンド。同じブロックで、侍ジャパンにとって最大の難敵となるのが、韓国代表である。ダルビッシュ有、大谷翔平を擁し過去最強とも称される侍ジャパンだが、“韓国のイチロー”と呼ばれる李政厚(24)や、パドレスに所属する金河成(27)、韓国系米国人の母を持つカージナルスのトミー・エドマン(27)など2人のメジャーリーガーが並ぶ韓国代表の強力打線は、大きな脅威となりそうだ。
過去のWBCで熾烈な戦いを演じてきた両国。日本が優勝した2008年の第1回大会では、2次ラウンドで勝利した韓国ナインがマウンドに小さな太極旗を突き刺して勝利を誇示した。続く2009年の第2回大会では5度の日韓戦が実現。シーソーゲームとなった決勝戦ではイチローの2点適時打で日本が2大会連続の優勝を飾った。今回も過去の大会と同様、一筋縄ではいかないだろう。
この大一番にはファンだけでなく日韓両国の「首脳」も注目している。
韓国紙「中央日報」(2月2日)は、3月10日の日韓戦を岸田文雄首相と尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が並んで観戦する計画が浮上していると報じている。韓国の漢陽女子大学の平井敏春助教授が語る。
「尹大統領の出身高校は野球の名門で、岸田首相も開成高校野球部出身です。通常の首脳会談と違ってスポーツの国際試合であれば数時間をともにすることになります。もし実現すれば、文在寅政権で極限まで悪化した日韓関係の雪解けムードを演出するには、絶好の機会でしょう」
一方、過去のWBCでは、観客席に「独島は我々の土地だ」と書かれたプラカードが掲げられるなど、日韓友好に水を差すような行為も見られた。
今回のWBCでは政治的な問題にまで発展するような事態は避けたいところだ。平井氏もこう指摘する。
「近年、韓国内では若者を中心に親日感情が高まっています。WBCをきっかけに、日韓で険悪なムードにならないよう両国政府は神経を尖らせるでしょう」
※週刊ポスト2023年3月10・17日号