ワールド・ベースボール・クラシック(以下WBC)日本代表の鈴木誠也が、左脇腹痛のため出場を辞退することになった。前回のWBC、2019年のプレミア12、一昨年の東京五輪と侍ジャパンの一員として活躍してきた鈴木の離脱は栗山英樹監督にとって痛い出来事となった。代替選手として阪神の近本光司、広島の西川龍馬らの名前が挙がっている。
「近本が有力視されています。昨年の強化試合にも出場していますし、現状の侍ジャパンにはセンターの本職がいない。西川もセンターを守れますが、主な守備位置はレフトです。北京五輪では西武でライトを守っていたG.G.佐藤がレフトを守り、落球をした。“餅は餅屋”ですから、できるだけ普段からのポジションを守らせた方がいい。
近本は他球団と比べると、ファンやマスコミの注目度が高い阪神でプレーしており、プレッシャーにも強いタイプです。入団1年目から毎年タイトルを取っており、そういう意味で勝負強さも兼ね備えている。肩がそこまで強くないという点はマイナスポイントでしょうが、侍ジャパンに向いている性格だと思います」(野球担当記者・以下同)
現在、阪神からは湯浅京己、中野拓夢の2選手が選ばれており、近本が招集されれば3人目となる。
「この状況で頭が痛いのは岡田彰布監督でしょう。今年は湯浅をクローザーに回す予定でしたが、WBCを考慮して開幕直後はまず中継ぎでの試運転を明言しています。また、中野をショートからセカンドにコンバートしましたが、WBCでは主にショートで使われそうです。ポジションが代わった1年目でセカンドの練習を満足にできないまま、公式戦に臨まないといけない。これで近本まで侍ジャパンのメンバーになれば、湯浅含めチームの軸となるセンターラインの選手が3人も欠けてしまう。18年ぶりの“アレ(=優勝)”を狙う阪神にとっては、自チームの選手が日本代表になったからといって、喜んでばかりもいられない状況です」