国内

犠牲者5万人超のトルコ地震と日本の類似性 複数のプレートを有し大地震が起こりやすい

地震発生から3日後に、トルコ南部のパタイでがれきに埋もれているところを発見された。首以外の部分が全て埋まっており、がれきをかき分け救助された(写真/アフロ)

5万人を超える死者が確認されたトルコ大地震(写真/アフロ)

 白煙を上げ、轟音とともに崩れ落ちる建物と、放り出された人々。トルコの大地震は世界中に衝撃を与えた。だが知ってのとおり、わが国も地震大国。同じ規模か、それ以上の大地震がいつ起こるとも限らない。もっとも起きる確率が高いのは「首都直下地震」──そのとき、東京に“安全な場所”はあるのだろうか。【全4回の第1回】

 連日テレビに映し出されるがれきの山。2月6日、トルコ南部・シリア国境付近で発生した大地震はM(マグニチュード)7.8と、東日本大震災以降、世界でも最悪の地震災害となった。両国合わせての死者数はすでに5万人を超え、崩壊した建物はトルコ国内だけで68万棟以上と報じる現地メディアもある。支援が滞るシリア北西部の反体制派支配地域ではいまだ行方不明者が多く、犠牲者はさらに増えるとみられている。

 実はトルコも日本と同じ「地震大国」。特にトルコ南部、震源地周辺は日本と同じく複数のプレートがぶつかり合う地域で、M7以上に限っても過去100年間に14回の地震が発生している。1939年、東部エルジンジャン県でM7.8の地震が発生した際は3万人以上が死亡した。1999年に北西部コジャエリ県でM7.6の地震が起きたときにも1万7000人あまりが亡くなった。東京工業大学教授の山中浩明さん(地震工学が専門)が解説する。

「トルコは2枚のプレートが横方向にずれて、それが戻るときに地震が起きる『横ずれタイプのプレート境界地震』が多く、今回の地震もそれに当たります。今回はアラビアプレートとアナトリアプレートの境界にある『東アナトリア断層』でのずれが震源となりました」

 日本もトルコと同じく複数のプレートを有しており、大きな地震が起こりやすい点が似ているという。日本のプレート境界地震は横ずれだけではなく、あるプレートが別のプレートの下に沈み込んで、限界がくると元に戻ろうと跳ね返るタイプの地震も起きる。東日本大震災は典型的なプレート境界地震によるものだ。一方、阪神・淡路大震災を起こした兵庫県南部地震や熊本地震は、活断層による地層の横ずれが原因の地震だ。

「プレート同士がその境界でグイグイ押し合うことで、地殻(地球の浅い部分)の内側に『活断層』と呼ばれる小さな亀裂が多数できる。阪神・淡路大震災や熊本地震はその活断層によって起きた地震です。中でも熊本地震は地層が横に2mもずれており、今回のトルコ地震とも似たタイプの地震だと言えます」(山中さん・以下同)

関連キーワード

関連記事

トピックス

2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
卓球混合団体W杯決勝・中国-日本/張本智和(ABACA PRESS/時事通信フォト)
《日中関係悪化がスポーツにも波及》中国の会場で大ブーイングを受けた卓球の張本智和選手 中国人選手に一矢報いた“鬼気迫るプレー”はなぜ実現できたのか?臨床心理士がメンタルを分析
NEWSポストセブン
数年前から表舞台に姿を現わさないことが増えた習近平・国家主席(写真/AFLO)
執拗に日本への攻撃を繰り返す中国、裏にあるのは習近平・国家主席の“焦り”か 健康不安説が指摘されるなか囁かれる「台湾有事」前倒し説
週刊ポスト
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン