今季の渋野のスイング。トップが高い位置になっている(写真/Getty Images)

今季の渋野のスイング。トップが高い位置になっている(写真/Getty Images)

改造したスイングの完成までに1年かかる?

 そのうえで沼沢氏は、青木コーチを頼ったことを肯定的に評価する。

「原点に戻り、渋野の“いい・悪い”をすべて知っているコーチのアドバイスを受けることは悪くないと思います。昨シーズンの渋野は手の位置が肩より低いコンパクトなトップから、インサイドアウトのアッパースイングでドローを打とうとしていた。それではアイアンが傾斜によって影響されるスイングとなる。今はテークバックが違和感なく上がっているように見えるし、クラブが上から入って来やすくなった」

 ただ、スイング改造が容易ではないことも事実だという。

「プロがオフにスイング改造をした場合、直後のシーズンの1年間を安定したショットで戦うのは難しい。タイガー・ウッズもフルチェンジに1年かかりました。マイナーチェンジであってもスイングに違和感が生じるものです。バックスイングが変わればフォローも変わる。ドライバーは安定したとしても、アイアン、特に100ヤード以内のアプローチの感覚が変わってくる。すべてが総合的に変わったと思うまでに1年はかかると思いますね」(沼沢氏)

 米女子ツアーは開幕したばかりだが、11月まで転戦が続くなかでの試行錯誤が続くというわけだ。沼沢氏はこう続ける。

「この先も青木コーチの指導を受けるのはいいが、プロを指導するにはコーチ自身も進化しないといけない。以前の渋野のスイングを作った時よりも勉強しているかがカギとなるでしょうね。選手と相談して指導するのではなく、渋野はコーチの指導を100%聞かないといけないし、コーチは疑問が生じた時にそれを説明できないといけない。米女子ツアーで転戦してきた渋野の悩みに答えられるだけの勉強をしているか。教わる側だけでなく、指導する側にも進化が求められています」

 渋野が一躍、“シンデレラガール”となった2019年の全英女子オープンでキャディとして優勝を支えた青木コーチとのタッグ復活に、当然ながら期待は高まる。どんな結果となるのか。今季もシブコから、目が離せない。

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