三省堂の「今年の流行語2022」の大賞は「タイパ」だった。タイパとはタイムパフォーマンスの略であり、時間の効率性を指す。コストパフォーマンス、通称「コスパ」にならって作られた言葉だ。なぜ若者はタイパを重視するのか。若者のSNS利用実態に詳しいITジャーナリストで成蹊大学客員教授高橋暁子さんに聞いた。
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人気のサービスも「タイパ」志向
若者に人気があるものは、タイパ主義と合致しているものが多い。たとえば最大60秒までのショート動画を作成できるTikTok(アップロードは3分まで)や、YouTubeショートは、短くて隙間時間に楽しむことができ、効率よく楽しむことができる。
Instagramでも効率性を求めた使い方がされている。ある大学生は、「インスタは使い込めば使い込むほど効率よく情報が取れるようになるので、あえて使い込んでいる。そこしか見ないくらい」という。
Instagramでは、自分のフィードにフォローしていないユーザーからの投稿が「おすすめ」として表示される機能がある。広告投稿も表示されるが、ユーザーの閲覧履歴から好みに合いそうな投稿を自動的に選んで「おすすめ」される。さらにユーザーの興味関心、好みにあった投稿が発見タブ(虫眼鏡マーク)に表示されるようになる。つまり、自分が見たいと思っているジャンルについて閲覧するほど、好みに合った投稿が表示されやすくなる。それを大学生は「使い込む」と表現している。使い込むことで、自分が見つけたい情報が、能動的に調べずともピンポイントで表示され、効率よく情報が得られるようになるというわけだ。
Web記事なども「要するに」という要約があるものを見かけるが、それもユーザーのニーズがあるためだろう。
切り抜き動画、倍速視聴、ファスト映画も人気
タイパ志向は動画の見方にも出ている。「動画を見る時には、まずあらすじや評判をチェックする。YouTubeなら切り抜き動画を見て、面白そうと思ってから本編を見ることが多いかな」と先程の大学生はいう。