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井上順さんに見た「生粋の東京人」の魅力 取材した60代女性記者が感じた優しさ

井上順

スターの井上順さんと取材で初対面を果たしたオバ記者(撮影/矢口和也)

 体験取材を得意とする『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子が、感じたこと思いのままに綴る。今回は“東京人”の魅力を掘り下げます。

 * * *
「あぁ、東京の人だ!」

 補聴器企画の取材で、井上順さん(76才)にお会いし、インタビューの最中、強烈にそう思った。

 ご存じの通り、井上さんは50代で難聴に悩まされたけれど、補聴器によって音を取り戻し、それまで以上のご活躍を続けている、人呼んで「難聴の星」。それはともかく、私にとってはスターの中のスターよ。

 そのスターが手の届くところにいて、「野原さんがおっしゃる通りですね」などと私の名前まで呼んで話してくださることが信じられないんだわ。だってあなた、ザ・スパイダースでマチャアキ(堺正章)とWボーカルだった人よ! 『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)で芳村真理さんと長い間、司会をしていた人よ! あのときのあのまんまの声で「野原さん」って……もぅ、うれしすぎます。

 44年も雑誌記者をしていれば、さまざまな有名人にインタビューをしている。だけど、こんなに心の中の「キャーッ」が止まらないことは一度もなかったんだわ。「はい、お仕事お仕事」と思えば、さ、さ、面白い話をしてくださいよ。どこにでもしている話でお茶をにごさないでね、と前のめりになるのが記者のサガだ。

 なのに、どうした!? ひと通りの挨拶が終わっても私は“オバ記者”になれないでモジモジしているの。そうしたら井上さんから「はい、名刺ちょうだい」とニッコリ笑顔で言われて、やっとわれに返った次第。

「とにかく何でも遠慮しないで聞いてくださいね」と井上さんはこちらの緊張をほぐそうとしてくれる。

 話の合間合間に、私と、対談記事を担当するKさんの名前も折に触れて呼んでくれる。

 そうこうするうちに井上さんの話に引き込まれ、笑っているうちに次第に私の心の中から「キャーッ」が消えてきた。そして代わって出てきたのが、「あぁ、東京の人だなぁ」という思いなの。

 井上さんは渋谷区生まれで、中学生の頃から“六本木野獣会”のメンバーに名を連ねたバリバリの都会人。だけど私が言いたいのはそこではない。

 実は私、「東京生まれの東京育ち」と聞くと、たちまち油断しちゃうんだよね。

 なにせこちらは茨城の田舎から出てくるときに、親から「生き馬の目を抜くのが東京だがんな。なめられんじゃね」と口を酸っぱくして送り出されている身。上京してから生き馬の目を抜くような修羅場は見たことがないけれど、その代わり、待ったなしの家賃との格闘が待っている。生まれたときから持ち家のある「東京の人」は顔つきから物腰、口の利き方まで違うって。

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