安倍政権時代の放送法に関する内部文書の流出で大紛糾している今国会。それは岸田文雄・首相にとっても“地雷”となり得るものだった。国外に目を転じても、いまだ実現できていないウクライナ訪問や、国内外から大批判を浴びた林芳正・外相のG20欠席問題など多くの課題を抱える。番記者たちが見た裏側とは──。
週刊ポストでは、前号(2023年3月10・17日号)につづいて、政治部記者覆面座談会を開催。今回は、外交では戦火のウクライナ訪問、内政では“第2の森友問題”で火だるまになっている岸田政権の内憂外患がテーマになった。メンバーは前回同様、官邸詰めや自民党担当の政治記者4人、記者AとBはキャップクラスのベテラン、記者CとDは第一線で取材している若手だ。【全3回の第3回。第1回から読む】
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司会(編集部):「外交の岸田」というが、実際は失点続き。林外相が「国会日程」を理由にインドで開かれたG20外相会合を欠席したことはインドをはじめ海外メディアから批判され、国際的に大恥をかいた。麻生太郎・自民党副総裁も、「ウクライナ情勢の話をする会合に、国会論議が理由で出られないことの反響を考えろ」と政府の対応を批判した。
記者D:あれは世耕弘成さん(参院自民党幹事長)の失態でしょう。外務省が林外相のG20案件を報告した時に、参院予算委員会の基本的質疑の日程に重なっていたので、「それは厳しいな」と言ったそうです。会見でも、「基本的質疑は重要度が高い」と林外相の国会出席の必要性を強調していた。それが、麻生さんに批判されてからは、G20の翌日にインドで開かれたクアッド(日米豪印4か国外相会談)には行かせると言い出しました。
記者C:世耕さんは、「外務省から、どうしても出なければいけないという説明や要望は一切なかった」と責任は外務省にあると言っています。外務省が強く出席を主張しなかったのはそうかもしれないが、だったら党側が行くように促せば良かった。説得力に欠けますね。
記者B:林外相と世耕さんは関係が良くない。林さんは参院から衆院に鞍替えして総裁候補とみられている。世耕さんはまだ鞍替えできておらず、林外相に後れを取っているから、ここで自分の力をアピールしたかったんじゃないか。政治家の嫉妬は怖い(笑)。しかし、2人のくだらない確執で国益に問題が出ているとしたらとんでもない。
記者D:自民党内には、参院の国会日程を調整する磯崎仁彦・官房副長官の責任を問う声もあります。「人付き合いしないから大事な時に根回しができない」と。