新型コロナウイルスの登場以降、当たり前になっていた「マスク着用」を巡る判断の前提が大きく変わる。3月13日以降、政府はマスク着用について「個人の主体的な選択を尊重する」と呼び掛けている。厚生労働省のHPでも、〈(3月13日以降は)本人の意思に反してマスクの着脱を強いることがないよう、個人の主体的な判断が尊重されるよう、ご配慮をお願いします〉と記載されているが、約3年に及ぶコロナ禍を経て、人々の意識がどう切り替わるのかは、不透明な部分も多い。
小売業や運輸業の企業を中心に、これまでは顧客にマスク着用の“お願い”をしてきた各企業も、対応の転換を求められている。たとえば三越伊勢丹ホールディングスなど大手デパートでは、来店客に求めてきたマスク着用について、3月13日以降は個人の判断に委ねることを明らかにしている。その一方で、従業員については来店客らの安心・安全のために着用を継続する方針というから、「個人の主体的な判断」をどう捉えるかの難しさも窺える。
セブン-イレブン・ジャパンやファミリーマートなどのコンビニ大手も、来店客にマスク着用を呼び掛けることはなくなる。フランチャイズ加盟店なども多いため、従業員のマスクについては各店舗のオーナーの判断に委ねられるとのことだが、引き続き着用は推奨されるという。
来店客については「着けなくてもOK」にするが、従業員については着用させる方針を続ける企業が目立つことから、“マスクを外した人”に対して向けられる目線がどのようなものになるか、各社が気にしているということでもあるだろう。
「やっぱり、正直なところ周囲の目は気になるよね」
そう話すのは元広島カープ監督で、野球評論家の達川光男氏だ。
「私はもともと軽いアレルギー性鼻炎があるので、コロナ前から日常生活のなかでマスクをすることが多かった。3月13日以降も、屋外ではマスクを外すと思いますが、それ以外の場面の多くでは着用を続けると思います。
あと、私はそんなに有名人じゃないけど、それでも周りの他人の目を気にしてしまいます。周りがみんなマスク着用を続けるなら、他人と違う行動を取ってSNSとかに書かれないかと心配になる。“達川がマスクをしないで大きな声で話していたぞ”なんて後ろ指さされたくないからね」