芸能

『体育会TV』は終了、『ジャンク』は短縮 スポーツバラエティの「限界」

『ジャンクSPORTS』は時間が短縮(HPより)

『ジャンクSPORTS』は時間が短縮(HPより)

 WBCが盛り上がっているが、そんななかテレビ界のスポーツ番組事情に変化が訪れている。スポーツバラエティのゴールデンタイムからの“撤退”が相次いでいるのだ。かつては定番コンテンツの1つだったスポーツバラエティは、もう「限界」なのか――。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 連日、各局の4月期改編が発表され、番組の終了や誕生にさまざまな声が飛び交っています。その中でも象徴的だったのが、スポーツバラエティをめぐる2つの動き。

 まずフジテレビが『ジャンクSPORTS』を日曜ゴールデンタイムの19時台から土曜夕方の17時台に移動し、さらに放送時間を30分に短縮することを発表しました。次にTBSもの『炎の体育会TV』を土曜ゴールデンタイムにあたる19時台のレギュラー放送を終了。今後は世界大会が開催されるときなどに不定期特番化することを明かしました。

 注目すべきは今春の改編で「民放ゴールデンタイムでレギュラー放送されるスポーツバラエティが0本になる」こと。広い意味でスポーツドキュメンタリーを加えたとしても、「スポーツ関連番組は土日の日中や深夜の番組がいくつかあるのみ」という状態になりそうです。

 令和の今、スポーツバラエティ、引いてはスポーツ関連番組というジャンルは、もう限界なのでしょうか。もしそうならば、どんな理由があるのでしょうか。

視聴率低迷もオリンピックが支えに

『ジャンクSPORTS』の移動・縮小は、視聴率の低迷によるところが大きいのは間違いないでしょう。同番組は2000年4月に深夜帯でスタートしたものの、2004年1月からゴールデンタイムに移動し、2010年3月まで放送。その後、不定期特番化して放送を続けたあと、2018年1月にレギュラー放送を再開しましたが、視聴率は低迷し続け、東京オリンピック終了後は買い物やグルメなどの企画でテコ入れを図ったものの、上向くことはありませんでした。

 一方、『炎の体育会TV』はレギュラー放送終了の理由に「東京オリンピックが終わったこと」を挙げていましたが、やはり裏番組と比べたとき視聴率の低迷は否めません。また、もともとTBSはスポーツ関連番組に力を入れてきたテレビ局ですが、2011年11月のスタートから約11年半にわたって放送したことで、「一定の役割を終えた」というところもあるのでしょう。

 その他のスポーツバラエティに注目すると、1980年代に人気を博した『ビートたけしのスポーツ大将』(テレビ朝日系)は東京オリンピックに向けて2017年11月に27年ぶりの復活を果たしたものの、わずか10か月後の2018年9月に終了。当時は「ビートたけしさんが2019年の大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(NHK)に出演するから」という理由が報じられましたが、曜日移動せずに終了させたことが視聴率の低迷を物語っています。

 また、同時期の2017年4月から放送されていた『さまスポ』(テレビ東京系)も、同じ2018年9月で終了しました。2010年代後半からスポーツバラエティをめぐる状況は苦しくなっていたものの、「東京オリンピックがあるから」という理由で何とか持ちこたえていたのです。

 しかし、その間も各局のテレビマンたちは、「視聴率低迷の理由はスポーツバラエティの需要が落ちているからではないか」と感じていました。

視聴者の世界大会至上主義が加速

 現在の視聴者が求めているのは、スポーツはバラエティよりも、真剣勝負の国際試合。特にテレビマンたちにとって重要な視聴率が上がるのは、日本代表が各国代表と戦う世界大会です。

 実際、野球のレギュラーシーズンはゴールデンタイムでほとんど放送されなくなった一方で、現在開催中のWBCは強化試合から高視聴率を記録。このような現象は、野球のWBCやサッカーのワールドカップが顕著ですが、国際大会のテレビ中継は各競技に広がっています。

 これまで放送されてきたバレーボール、陸上、水泳、ゴルフ、フィギュアスケートに加えて、柔道、卓球、体操、バドミントン、ラグビー、バスケットボールなど、視聴者の注目を集める世界大会の中継は増える一方。日本人選手の活躍に合わせて、各局がカバーする競技を競い合うように広げています。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン
新政治団体「12平和党」設立。2月12日、記者会見するデヴィ夫人ら(時事通信フォト)
《デヴィ夫人が禁止を訴える犬食》保護団体代表がかつて遭遇した驚くべき体験 譲渡会に現れ犬を2頭欲しいと言った男に激怒「幸せになるんだよと送り出したのに冗談じゃない」
NEWSポストセブン
警視庁が押収した車両=9日、東京都江東区(時事通信フォト)
《”アルヴェル”が人気》盗難車のナンバープレート付け替えで整備会社の社長逮捕 違法な「ニコイチ」高級改造車を買い求める人たちの事情
NEWSポストセブン
地元の知人にもたびたび“金銭面の余裕ぶり”をみせていたという中居正広(52)
「もう人目につく仕事は無理じゃないか」中居正広氏の実兄が明かした「性暴力認定」後の生き方「これもある意味、タイミングだったんじゃないかな」
NEWSポストセブン
『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
《英国史上最悪のレイプ犯の衝撃》中国人留学生容疑者の素顔と卑劣な犯行手口「アプリで自室に呼び危険な薬を酒に混ぜ…」「“性犯罪 の記念品”を所持」 
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン