戦隊モノは常に進化しているようだ。新しい戦隊シリーズ『王様戦隊キングオージャー』(テレビ朝日系)が話題を呼んでいる。コラムニストで時代劇研究家のペリー荻野さんが注目したのは意外なポイントだった――。
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5日にスタートした新しい戦隊シリーズ『王様戦隊キングオージャー』は、初回から大変なことになっている。
物語の舞台であるチキューには、5つの国があり、民は平和に暮らしていた。ところが、ある日突然、昔からの予言にあった恐ろしい地帝国「バグナラク」が襲い掛かる。世界の平和を乱す強敵と闘うため、5つの国の王様が集結、闘うはずだったが…。
「だったが」と書いたのは、この王様たちが、ちっともまとまっていないからだ。
顔ぶれは工業の国「シュゴッダム」の王様、青いトンボオージャーになるITテクノロジーの国「ンコソパ」の国王(渡辺碧人)、黄色いカマキリオージャーになる芸術と医療の国「イシャバーナ」の女王(村上愛花)、紫のパピヨンオージャーになる氷雪の中立国「ゴッカン」の国王(平川結月)、黒いハチオージャーになる農業の国「トウフ」の王殿(佳久創)。
彼らはまとまらないながらも、バグナクラの攻撃に対抗すべく、かつて世界を救ったという昆虫型機械生命体の「ゴッドクワガタ」を復活させようとするが、なぜか、ゴッドクワガタは動かない。その理由は「シュゴッダム」の王様ラクレス(矢野聖人)がまったく参加しておらず、玉座に座って、飲み物片手ににやにやしているからだった。そこに駆けつけた平民のギラ(酒井大成)が怒りをぶつけると、ラクレスは平然と「真の平和は絶対的な力によってもたらされる」「民は道具」、この先、他の国も従えて、チキューを統一すると言い放つのである。おいおい、一番悪いのは、この王様じゃないか!? と思わせるこの展開。ファンタジー世界の話とはいえ、なかなか深い。
そんな中、やっぱり時代劇好きの私としては気になるのが、カグラギだ。国の名前がトウフというだけでも気になるし、住んでいる城の名前が「タキタテ城」というのも素晴らしい。
城の形は、鍋釜が重なったような形状で、背景には巨大な緞帳か屏風のような華やかな壁が。また、王様たちは、それぞれ一国の主だけに、中世の王族のようなスタイルや煌めくドレスなどゴージャスな雰囲気だが、カグラギは、キラキラの袴に花鳥風月的派手柄のロング羽織で手には扇子。