3月13日以降、マスク着用のルールが緩和される。「個人の主体的な選択を尊重する」と厚労省は呼びかけるが、突然の“仕様変更”に戸惑いを覚える人も少なくない。マスクを外すか、外さないか。各界の著名人に話を聞いた。【前後編の前編】
「マスクは病気を他人にうつさないためのもの。健康な人が着けるべきものではない。政府が明確な理由を説明していないので、迷う人は多いでしょう。私は自分の状況に応じて判断します」
こう語るのは作家の下重暁子氏である。
「もともと屋外をひとりで散歩する時はマスクをしませんし、講演会やテレビの時も最近は着けていません。映画館やレストランでも大声で話す人のそば以外は基本的にはそうする。ただ、電車は不特定多数の人が混み合って感染リスクが高いので、着用します」(下重氏)
経済ジャーナリストの荻原博子氏も同様に、「マスクの着脱は周りに病気をうつすか、うつさないかの話。周囲を窺いながら決めるのが現状のスタンスです」と語る。
法学博士で信州大学特任教授の山口真由氏は、「マスク=思いやり」といった同調圧力に違和感を覚えていた。
「3月13日以降は仕事先でもマスクを外そうと思います。大学の授業ではマスクを着けていると声が聞き取りにくいし、表情も見えないので円滑なコミュニケーションが取りづらいですからね。
ただ、“マスクを着けない”という主張が強いわけではありません。マスク着用を求められればルールに従いますし、自分の体調が悪ければ当然着けるつもりです」
精神科医の和田秀樹氏は「当たり前に外す」とキッパリ。
「不織布のマスクをしていると吐いた息をもう一度吸うので、酸素濃度が低くなって頭がぼんやりする。また、口の動きが見えないと、相手の感情がわからない。私は精神科で患者さんと接する時、表情や顔つきでその心理がよりわかることが多いので、“よろしければマスクを取って顔を見せていただけませんか”と言うこともあります」