ものまねで知られる芸人・ほいけんたさん(57)。最近ではバラエティ番組『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)の“サビだけカラオケ”コーナーに出演し、その歌い方がSNSなどを中心にバズったばかり。50代にして新たな境地を切り拓いたほいさんは、これまでも明石家さんまのものまねで注目されてきた。順風満帆に見えるほいさんの芸人生活だが、その道を諦めようと思ったこともあるという。そんな彼に、これまでの半生を振り返ってもらった──。【前後編の後編。前編から読む】
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さんまさんのものまねを始めたのは26歳の頃。最初は顔まねだけでした。当時、プリンセス天功・テンコーさんと仕事をしていて、六本木のショーパブでマジックを取り入れたコントをしていました。テレビではMr.マリックさんがブレイク中。それで、マリックさんのパロディーコントもしていたのですが、当時のマリックさんは漫画『おそ松くん』に出てくるキャラクターのイヤミみたいな髪型(おかっぱ頭)をしていたので、僕はネタの途中で突然、出っ歯をつけてイヤミになるというボケをしていました。
あるとき、楽屋で歯の大きさを調整していて、出っ歯をはめている自分の姿を鏡で見たら、「あれ、さんまさんに似てるな」と気付いたんです。それで、さんまさんの表情を研究して、さんまさん司会のものまね番組『発表!日本ものまね大賞』(フジテレビ系)のオーディションを受けたら合格し、ご本人と共演。顔まねがウケて、スポーツ紙などが取り上げてくれました。
その後、『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦』(フジテレビ系)のオーディションを受けたら、さんまさんのしゃべりができなくて落ちてしまって。僕は東京・中野の生まれ、日野育ちなので、関西弁はしゃべれない。それで、悔しくてしゃべりも練習したんです。さんまさんのラジオ番組を録音して、英会話教材「スピードラーニング」で英語を学ぶように何回も聞いて、“さんまさん語”を必死で身につけました。