もはや日本のライバルではない──。韓国がWBC1次ラウンドで侍ジャパンに4-13と惨敗を喫した。チェコにこそ勝利を収めたが、先ほど最終戦を待たずして3大会連続の1次ラウンド敗退が決まった。
日本キラーの異名を取る先発左腕のキム・グァンヒョンは2回まで5三振を奪う完ぺきな立ち上がり。打線も3回に女房役のヤン・ウィジがダルビッシュ有から左翼上段に2ラン、メジャーが注目する安打製造機、イ・ジョンフの右前適時打も加わり3点を先制したが、見せ場はここまでだった。直後にキム・グァンヒョンが四球で走者をためて痛打を浴びて降板すると、救援陣も踏ん張れず4失点と逆転。その後は一方的な展開となり、計10投手が登板したが、侍ジャパン打線の勢いを止められず失点を重ねた。打線もメジャーでプレーするトミー・エドマン、キム・ハソンが共に4打数無安打に終わるなど、チャンスメークで機能せず。過去のWBCの日韓戦は4勝4敗と五分だったが、力の差を感じさせる結果となった。
韓国野球に詳しい記者は、敗因をこう語る。
「いまの韓国は選手層が薄い。35歳以上のベテランと24歳以下の若手が多く、中間の世代で中心になる選手が少ない。一番の大きな差は投手陣ですね。日本戦で登板した投手たちは、韓国の国内リーグで活躍していますが、NPBでは通用しないでしょう。球威、制球力、変化球の精度と全てで見劣りする。侍ジャパンは1次ラウンドで今永昇太、高橋宏斗、戸郷翔征が救援で登板していますが、韓国だったら先発で不動のエースです。投手陣のレベルに雲泥の差がある」
日韓戦は独特の緊張感が漂う。かつて、韓国の選手たちは「日本には絶対に負けられない」と公言していた。2006年の第1回WBCでは1次ラウンドに続き、2次ラウンドで日本に連勝した試合後、選手たちがマウンドに太極旗(韓国国旗)を突き立てたことが物議を醸した。
「日本では『相手に対する敬意が感じられず、スポーツマンシップに欠ける行動』として批判を呼びましたが、韓国国内では15年以上経った現在でも感動的な場面として語り継がれています。日本に勝つ時が一番盛り上がるので、選手の士気も高かった」(前出の記者)
2008年の北京五輪でも予選リーグで5-3、準決勝で6-2と、日本と二度の対戦で撃破して金メダルを獲得。2009年のWBCでは5度対戦して決勝戦で韓国が敗れたが、直接対決は2勝3敗と実力は拮抗していた。