ライフ

総合感冒薬、咳止め、タミフル、解熱鎮痛剤、湿布…こんなにある「日本人しか使わない薬」

(写真/PIXTA)

日本人は薬に頼りがちかもしれない(写真/PIXTA)

 街行く人の顔からマスクが外れる日が近づく一方、新型コロナウイルスワクチンの無料接種は2023年度末まで継続することが決定した。高齢者など重症化リスクの高い人は年2回、それ以外の人は秋に1回というのが新基準だが、新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんは、守っているのは日本だけだと指摘する。

「欧米をはじめとする世界各国は、とっくにワクチン接種をやめています。半年ほど前から、ワクチンは打てば打つほど免疫機能にブレーキがかかり、むしろ感染しやすくなるというデータもある中で、日本だけがいまだに接種を積極的に推奨する政策をとっている。実際、直近の人口100人あたりのワクチン接種率はアメリカ、イギリス、イタリア、フランス、中国などの主要国と比べて、日本がダントツです」

 世界に取り残され、ガラパゴス化している日本の医療はコロナワクチンに限らない。商社に勤務する夫のドイツ赴任に帯同し、5年間ベルリンで過ごした主婦のAさん(仮名・42才)が言う。

「駐在生活の中で驚いたのは、ドイツ人がぜんぜん薬をのまないこと。特に印象的だったのは、風邪をひいて病院を受診したときのことです。医療大国だから、さぞやいい薬を出してもらえると思いきや、医師には『ハーブティーをのんで寝るのがいちばんの薬』とだけ言われて家に帰されました。半信半疑で試したけれど、確かに日本に住んでいる頃と比べて格段に治るのが早かった。それ以来、帰国してからも風邪で薬をのんだことはありません」

 海外の医療に詳しい医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが解説する。

「欧米の医学では『風邪を治す薬はない』が常識で、医者にかからずに自宅で療養するというのが基本です。日本のように薬はのみません」

 無駄なだけならまだしも、風邪薬が健康に悪影響を及ぼすこともある。米ボストン在住の内科医・大西睦子さんが解説する。

「日本で市販薬として広く流通している総合感冒薬や咳止めの多くは、中枢神経を刺激して眠気を取り、覚醒を促す効果のある『メチルエフェドリン』や、中枢神経を抑制して興奮を和らげる『ジヒドロコデイン』が成分として含まれています。しかし、それらの成分には依存性があるとして多くの国で薬局での販売が規制されているのです」

 事実、日本では風邪薬の過剰摂取や薬物依存が問題になっている。大西さんが続ける。

関連キーワード

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン