WBC準々決勝でイタリアに快勝した侍ジャパン。村上宗隆(ヤクルト)の状態も復調の兆しを見せ、大谷翔平(エンゼルス)、ラーズ・ヌートバー(カージナルス)を筆頭に打線は活発だ。投手力も1次ラウンドと準々決勝の5試合で合計11失点と安定している。救援陣も含めて世界トップレベルと言ってよいだろう。
対照的な戦いぶりだったのが、かつての宿敵・韓国だった。初戦の豪州戦で終盤に2本の3ランを浴びて7-8と手痛い敗戦を喫すると、2戦目の日本戦も先発のダルビッシュ有(パドレス)から3回に3点を先制したが、投手陣が持ちこたえられない。10人の投手をつぎ込む継投策も13失点と打ち込まれ、4-13とコールド負けを免れるので精一杯だった。3戦目のチェコに7-3で初白星を飾り、4戦目の中国戦は打線が爆発して22-2と5回コールド勝利を飾ったが、時すでに遅し。WBCで3大会連続1次リーグ敗退が決まった。
韓国を拠点に取材する通信員は、こう語る。
「韓国が日本のライバルと呼ばれたのは過去の話。投手力で大きな力の差がある。今大会の日本戦も3点を先制しましたが、逃げ切れる雰囲気はなかった。現状では台湾と同じぐらいの強さだと思います。韓国国内では『落胆した』『恥ずかしい戦いぶり』と批判の声がSNSで殺到していますが、これが現状の実力と受け入れなければいけない。日本の野球から見習うべき点も多いので、謙虚な姿勢が必要だと思います」
歴史的な背景もあり、韓国は日本戦になると実力以上のパフォーマンスを発揮すると言われてきた。2006年の第1回WBCの開催前に、イチローが「(韓国などのチームには)向こう30年、日本にはちょっと手を出せないな、みたいな。そんな感じで勝ちたいなと思っています」とコメントした際は、「日本に絶対負けるな」「イチローに絶対打たせるな」と韓国世論が盛り上がった。同大会では1次ラウンド、2次ラウンドで韓国が日本に連勝。3度目の対戦となった準決勝で敗れて日本が初代王者に輝いたが、最も苦しめた相手であったことは間違いなかった。韓国は2008年の北京五輪でも1次リーグ、準決勝と日本に2度勝利して金メダルを獲得。2009年のWBCは決勝で敗れたが、同大会で5度対戦して韓国の2勝3敗と実力は拮抗していた。